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【霊夢_紫】Two in One

ハートマークと音符マークを使ってみたかったのと
鼻出ししちゅを前々から書こうと思っていたっていうだけのもの。

あとはきちんと整合性の取れたストーリー性をどんどん殺いでいってます。
ストーリー部分を書いてるつもりでも、整合性をとろうとしてませんし後先考えてません。
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「無駄よ。諦めなさい。」
「……嫌だ」

 ふう、と溜息を吐いてしまう。
 大雨。バケツをひっくり返したような、とはまさにこれの形容に相応しい。神社の境内はありとあらゆるものが水飛沫を上げ、社に備わった雨樋はそれがまるで井戸であるかのように水を吐き出していた。砂利は水捌けが良いはずだが、余りに多い雨水はそれをも見事に水浸しにして、まるで川辺のミニチュアのよう。当然陽は隠れ、まだ夕刻時だというのに真っ暗。雷鳴はないが、風もなく、垂直に降る雨はただ水によって世界を洗い流そうとしているようにさえ見える。
 私と魔理沙は、その水飛沫の中にいた。霊力や魔力、妖力といったものを持つ者にとって、濡れないように小さな結界を張ることなど造作もない。それは私もそうだし、魔理沙だってそうだ。だが、今目の前にいる魔理沙は――地に膝と手をついて私を見上げている魔理沙は――それすら出来ないでいた。

「前から何度も言っているけれど、私はね、負けないように出来ているの。負けようと思わない限りは、絶対に負けない。」
「そんな滅茶苦茶があるか」
「その無茶苦茶が、通ってしまうのよ、私は。」
「……」
「私は本質的な意味で人間じゃないの。この幻想郷の一部でシステム。日が昇って沈み、風が吹いて、海は波立つ。そういう現象を具現するためのメカニズム。魔理沙、貴方とは、違う。」

 今迄何度か彼女には伝えてきたつもりだったが、理解はされていなかったらしい。
 些細なことで諍いになって、私に勝った事もない弾幕ごっこで蹴りをつけるという話。発端も、経緯も、結果も、それだけだ。本当に、それだけの詰まらない話。
 ムキになった彼女を負かせた回数は、昼前からもう何十回にも至っている。その間、一度だって彼女の弾は私に当たることはなかった。最初こそ持ち前のパワーとスピードで善戦を見せていたが、数回も重ねる内にそれは衰え鈍り、そして今や雨除けどころか立ち上がれないほどに魔力を消費して弱っていた。

「システムだの何だの、意味のわからないことをぺらぺらと」
「わからないんじゃないでしょう?認めたくないだけで」

 魔理沙が顔を上げる。視線を私に遣して、否、突き刺してきた。暗くて鋭い、それでいて烈火の如き視線は、まさに私を憎むそれで。その視線は真っ直ぐに私の瞳に向かっているのに、それがざくりと刺さったのは胸の辺りだった。痛い。私が目を反らしても、胸を抉られる感覚は已まないのだから、それは確かに胸に刺さっていたんだろう。
 そうやって私が目を反らすと、彼女は私の足元の、つまり彼女の手元の、玉砂利を一掴み握って、無造作に私にぶつけてきた。

「じゃあお前は何だよ!神か!?創造主か!?」
「機能面でそちら側に近いのは認めるけれど、そうじゃないわね。」

 子供のように拗ねていじける魔理沙。たまに彼女が見せると可愛らしいそんな幼い言動も、今はただ、痛々しい。

「そうかよ。さぞかし人間の私を見下していたんだろうさ」
「……ええ、そうね」

 売り言葉に買い言葉、という訳ではない。私は、魔理沙の気持ちに気付いていた。真っ直ぐで隠そうともせず、そのくせ自分から伝えようともしないその気持ちに。だが、だからこそ、だ。

「もういい加減にハッキリさせたいのよ。魔理沙。貴方の努力は、無駄なの。貴方がどんなに魔力を強めようと、どんなに技術を磨こうと、私に追いつくことは出来ない。そんなこと、最初からわかっていたでしょう?私はこの通り、自由に空を飛べる。魔力も、霊力も、妖力も、奇蹟も、何も必要ない。私が空を飛べるのは、『私が空を飛べるから』なの。でも貴方は、魔理沙、貴方は空を飛ぶのに箒を使って、魔力を削って、必死に制御して飛び続けなきゃいけない。」
「スタート地点なんて関係ないだろう!?私は、お前に追いつきたくて」
「不思議に思わない?魔理沙は毎日必死に、私や他の誰にも気疲れないように勉強して、練習して、努力してるのに、私は本当になんにもしていない。毎日境内を掃除して、お茶をすすって、ご飯を食べて、賽銭が入っていないのを憂いて、寝るだけ。どうしてこんなにも差があるのか。スタート地点の差とか、才能の差とか、そういうんじゃないの。」
「うるさい」
「もう、思い知ったでしょう?今日だけで五時間くらいかしら。一度だって勝っていない。今迄だって、納得づくで私に勝った事、あった?」
「うるさいっ」
「魔理沙と私は、存在のレイヤーが違うのよ。」
「うるさい……!」

 叫んで、そして視線を落とす魔理沙。
 私は。どうして世界の部品の一つなのに、人間と同じインターフェイスを持っているのだろう。大人しく物言わぬ部品でいられれば、こんなことにはならなかっただろうに。

「どうしてもわからないならね、魔理沙。」

 こんな言葉を、投げなければならないなんて。

「貴方が、わからない様なバカなら、言ってあげる。」

 人に好かれるなんて、面倒くさい。迷惑。

「私、弱い存在にも、人間にも興味ないから。好きでいても無駄よ。」

 どうして。どうして。

「特に魔理沙、貴方の事なんて」

 どうして私は、人と同じ姿なんだ。どうして私は

「嫌いだから。」

 人を好きになったり、してしまうんだろう。

 雨に濡れる魔理沙の背が、小さく震えている。悔しさからだろうか。体が雨で冷え切ったからだろうか。それとも、私の言葉で傷ついたからだろうか。魔理沙は顔を上げない。その指が、雨水に沈む砂利を抉っていた。

 っ

 小さく耳に入ってきた声は、しゃくり上げるそれ。彼女を泣かせるようなことを思いっきり口にしていながら、逆に激昂して私をひっぱたいてくれればいいのに、などと甘えた考えを抱いている自分にも嫌気がさす。だが。魔理沙は、泣いていた。肩を震わせ、声を殺して、でも私の目の前で、泣いていた。立ち上がって私の胸倉を掴んで怒鳴りつけ、地面に叩きつけるような気配は、ない。
 雨の音だけが世界を支配し、社から漏れる明かりが雨や水溜りに反射してぼんやりと橙と濃藍のコントラストを成す。赤と白、白と黒。この弾幕ごっこに、勝者などいない。
 短い時間だったが、酷く長く思える時間を立ち尽くして、私は社に戻る。







 魔理沙は、どうしたのだろうか。戻るときに、私は振り返る勇気を持てなかった。いっそその位置からマスタースパークで撃ち抜いてくれれば、命名決闘法適用宣言をしていない今ならきっと、消し炭になれるだろう。だが魔理沙は、それだってしてくれなかった。
 彼女を怒らせることが目的ではない。彼女の手で死にたいと思うでもない。誰の手でだっていい。こんな、腐れた心を持った存在が世界を支えているなんて言う事実を、私自身が認めたくなくて。でも変われなくて。誰かに殺してもらいたいと、思う。そう、本当に、思う。
 ぴしゃり、寝室の襖を閉じて布団を敷く。
 誰もいない夜は、久し振りだ。一人でいると、こんなにも、寂しい神社なのか。一人でいると、こんなにも寒いのか。
 襖が閉め切られた部屋は、まるで河童の里でみた無声映画のシーンのように静かで不自然だった。映像だけが鮮明に映し出されているのに、聞える音はすべて雨音のノイズに吸い込まれて消えてしまう。
 これが、幻想郷の理想の形。

「はは、映像、とはまた、うまい比喩だわ。ただのデバイスなのだからね」

 沈黙と寂寞に耐えかねてさめざめと呟いた言葉は、しかしそれ故に空しくて、より一層消沈してしまう。
 装束をたたみもせずに脱ぎ捨て、乱暴に敷いた布団のその中に、潜り込んだ。
 何も見たくない。何も聞きたくない。何も知りたくない。何も感じたくない。初めて紫に抱かれた夜。自分を好いてくれているのだと自惚れていた自分。自分が世界のインフラだと知らされたときの衝撃。それゆえの関係だったのだと思い知った消沈。頭から被った布団の闇に潜んでいたのは、それから逃げたかったあのときの感覚に、余りによく似ていた。これは、私の結界だ。脆く、弱く、薄い、小さくてちっぽけな、結界。
 ひとり。
 そう、何を今更。私は今までずっとひとりだったじゃないか。いかに妖怪に好かれる体質だろうと、友人が多くとも、私は周りの一切と違う。人間とか妖怪とか、そういう「現存在」ではないのだ。だからと言って紫や映姫のような基幹システムでもない。入替え可能な、消耗パーツ。それ故に人間という容れ物を宛がわれているのだ。

「さみ、しいよ」

 魔理沙に突きつけたはずの現実は、そのまま自分に倍返しされていた。
 言葉が思わず溢れ出、言葉が溢れてしまえば残りが溢れ出すのもあっという間だった。感情が溢れ出し、今まで生きてきた思い出が溢れ出し、でも、涙は出なかった。それは、私の胸の中には、それを搾り出すほどの潤いなど、既にないからに違いない。綺麗に巧く繕っても、結局乾燥した無機質な心であることに変わりはないのだ。
 早く今の私が終わってくれることを、ただ毎日毎日願っている。また一日、また一日、それを積み重ねて今の私の終焉を、心の底から望んでいた。次の私になれば、次の私は今の私の苦しみを忘れているのだ。救いのない救いでも、それは救いに違いないのだから。次の私は、もっとうまくやってくれるだろう。
 布団の中で小さく丸まる。膝を抱いてすっぽりとその中に納まると、その中は私を優しく包む闇。真綿に包まれ熱を蓄積し、息苦しささえも心地よい。こうして段々熱く苦しくなって、そのまま熱死してしまうことを想像する。くらくらする酸欠。朦朧とする熱。気持ちがいい。
 それでも自然と眠りに落ち、朝目覚めれば暑さも息苦しさも無い。この世に一人ぽつんと産み残されたみたいに、また剥き出しで乾燥した私へ産まれてしまうのだ。
 それが怖い。朝が怖い。今日が死んで明日がまた生まれるのが怖い。今日死んでそのまま死にっぱなしであればいいのに。小さく膝を抱えて丸くなり、小さく小さくなりたいと、強く強く、とても強く、願う。このまま闇にくるまれて息苦しさと熱に包まれて、夜のまま、夜のまま、夜のまま。夜という小さな死と、朝という小さな回生が、苦痛だった。それでも早く、私が終わって欲しかった。
 息苦しさに呼吸が深くなり、体温と吐息がちっぽけな胎内を加熱してゆく。羊水のようにどろりと絡みつく空気。布団の裏地……胎壁。そうしてその暗さからおぼろげに浮かび上がる、彼女の姿。

「……り……」

 声というよりは嗚咽。嗚咽というよりは小さな悲鳴。私は彼女の名前を胎内から呼んでいた。ここから救って欲しいと声をあげ、でもこの声に届いて欲しくないとそれを内側に閉じ込める。臆病者だ、私は。死を望みながら生に縋り、死ぬたび入れ替わる体を忌みながら捨てない。

「……き、すき、魔理沙ぁっ……」

 何故彼女なのか。ただの人間だ。でも、『人間』が入れ物であるとするなら、魔理沙の中には私よりもきれいなものが入ってる。きらきらしてて、唯一のもの。霧雨魔理沙が入ってる。そんなのは誰だって同じなのだけど、彼女だけがとてもきれいに輝いて見えた。

(だからって、助けてくれやしないのに)

 何か違う感情が化学反応を起こしていた。それは恋心ではないのだとも、わかっていた。泣き縋り悲鳴を上げる心が作り上げた、聖母像。魔理沙は私の宗教。口に出せない強烈な信仰心は、歪み暗く沈んで変質し、恋心に似た何かに擬態して私の深奥に潜み続けている。私の闇に巣食って肥え太り、今や時折顔を出して体を惑わせるほどに。
 同時に彼女も私を好いているような気がしていた。ような気がしていた、というのは、自分の中にあるものが恋心でないとわかってしまったために生まれた『疑い』故だ。なにか別の何か。もっと別の何か。そうでないとは言い切れないのだから。もし私が彼女の好意思しき気持ちに気付いているように、彼女もまた私の気持ちに気付いているのなら、それを進めるのはお互いにとって不幸だ。とても不幸なはずだ。だって、気持ちが噛みあっていないのだ。噛み合っているのは、求め合う体という輪郭だけ。
 だから、伝えた。『嫌いだ』と。嘘だった。好きだといっても、嫌いだといっても、それは嘘だった。

「す、き」

 言葉が思考を形作る。『好き』という言葉に付きまとう予約されたイメージが、例え間違っていたとしても、その対象をイメージどおりに矯正する。それは呪文。魔法の言葉ではない。文字通りの呪いの言葉。好きでもないのに好きなのだと、自分を騙し信じ込ませ、不幸に陥れる呪いの言葉。言葉とは、呪い。その呪いが、小気味よいほどに効果を現していた。
 だって、『好き』という言葉以外に、これをなんと名付ければいい。わからない。憧憬と恋慕とが入り交じり、依存心と欲情が溶け合っていた。
 じっとりと湿り始めた腹の中で、グロテスクに変容した魔理沙への欲求がこぽこぽと湧き上がる。膝を抱えていた腕を少しずらして指先を添えると、私の中心は歓喜に打ち震えた。

「ん……っ」

 呼吸は深い。呆ける頭に、求める体。秘部は水気を湛えていた。指の先に伝わる、淫液の滑りと解れた肉襞の感触。そこだけが自分の体ではないように柔らかく蕩け、宛がった指をずるずると飲み込んでゆく。
 もう幾夜こうして自分を慰めたか知れなかった。

「っは……ぁ……っ」

 並べて突き入れた指三本は難なく私の最奥までを掻き分けて、固くなって下りてきたその入り口に突き当たった。ぐちゃぐちゃと汚らしい音を立てて水気を増してゆく秘裂。淫核が頭を出し、それに指の腹を擦り付けて弄ぶと抱えていた脚を広げずにはいられなくなる。
 面倒臭いことは投げ捨てて気持ちよくなれる。彼女の気持ちも関係なく彼女を想って燃え上がれる。オナニーの時だけは、何にも考えずに幸せでいられる。私の作り上げた、逃避の形だった。

「ひ、あ、おまんこ、とけて……」

 左手の指に唾液をたっぷりとまぶして、脇腹から腋にかけての敏感な肌を撫でた。唾液のぬめりと爪の鋭い感触が、弱点を追い詰めてゆく。人に言えぬ性感帯での自慰行為に、秘所は益々熱を帯び、蜜を滴らせ、入り口の肉は解れながらも右手の指を強く締め上げてきた。

「どろ、どろっ、マン汁あふれてぇっ、びらびらはみでてるう」

 堪能するためのオナニーじゃない。悦びを感じるためのオナニーじゃない。逃げ、目を背け、忘れ、無感になり、消え去り、終えるだけの浪費行為。気持ちよくなるためのプロセスは絶頂への階段を登るために必要な最低限のもの。この手が魔理沙のそれなら、ただ触られるだけで私の体は淫欲に堕する。それを妄想しながら、自分の手に魔理沙の手を思い重ねながら、自らの胸にナイフを突き立てるような手淫を続ける。

「ぐちゅっぐちゅエロい音っ!手マンですごいエロ音……しちゃってるよおっ!魔理沙の、指、奥、おく掻き回しっ、てっぇえ!!」

 ただただ早く肉欲の淵に沈みこむだけに、性器を刺激し続けた。焦らしも優しさもなく、膣内の感じる場所、人より大き目のクリトリス、異常性感の腋を、言葉にすれば罵倒するように、行為にすれば殴りつけるように、思いにすれば恨むように、機械の無機質さで責め立て、自らを絶頂へ導いてゆく。

「あ、んう!っん……!だめえっ!魔理沙、魔理ぁあっ!そんあにしちゃだめ!!クリ、ちんこみたいにおっきくなったクリ、潰しちゃ……!んきひィっ!でかクリ、いじめたら、すぐきひゃう、キはうよおぉ!!」

 粘性の高い水音はその大きさを増し、いつしか淫唇を抉る指は三本から四本へ増えていた。中指で子宮口を突きながら、人差し指と薬指、そして小指を鍵に曲げて天井のざらざらした所を引掻く。ぐぐっ、と中指に無理な力を加えて、本来外部からの進入など受け付けない子宮口を押し込むと、指先の摩擦と押し上げる圧迫感で意識に靄がかかった。

「ぉ……あ、あ!りゃめぇっ、クリしながらうえっかわごしごししるの、だめへええっ、魔理沙、だめ、だめ、だめえええん!魔理沙の指、ゆびぃ、魔理沙の指ペニスが、わらひのまんこ、こわ、こわひちゃ!!んきゅううっっっっ!!!魔理沙、まりさぁあっ!もっろ、もっりょおく、ぐりぐりって、ごしゅごしゅまんこ、まりひゃの、まりしゃの手バイブしゅごおおおぉおぉおおっっっっ!!!」

 ただ落ちたいだけの手淫に、オーガズムはすぐに顔を現した。
 ただその一瞬の飛翔が欲しくて、ただその一瞬の堕落が欲しくて、ただその一瞬の霧散が欲しくて、ただその一瞬の衝撃が欲しくて、ただその一瞬の蒸発が欲しくて、ただその一瞬の電撃が欲しくて、ただその一瞬の光が欲しくて、ただその一瞬の

――死が欲しくて――

 それは愛を求める有機的な気持ちではなく、肉欲を貪るただのメカニズム。
 来た。閃光が。心も体も、全ての輪郭を溶かす白い閃光が。

「い、イくの、イクのぉっ!まりさにびらびら思いっきり引っ張り伸ばされて、肥大化クリぎゅうってつぶされて、しきゅうこうぐりぐりしゃれて、まんこのなかぐっちゃぐちゃにえぐりまわしゃれて、腋なめられて、イクの、イクの、イクイク、イク!まんじりゅふいて、手マンでがばがばになったゆるマンコ、いくっ!!!腋こすって、腋ぐりぐりして、腋で、腋オナニーで、腋まんこいくっ!魔理沙。魔理沙っ。魔理沙、魔理沙、魔理沙、魔理沙魔理沙魔理沙魔理沙魔理沙魔理沙魔理沙まりさまりさまりさまりさまりさまりしゃあああああっっっっっっ!!!!」

 股をがばりと開いたままブリッヂのように腰を上げると、私を守っていた薄い結界が持ち上がった。尿道に鈍い貫通感が現れ、絶頂の痙攣に合わせて液体が噴き出でて暗い胎内の壁をべっとりとぬらしてゆく。
 乱暴にぶち込んでいた手がぎゅうっと締め上げられて、むりむりとそれを捻出する。ずるっと抜けた魔理沙の右手は愛液にふやけ切っている。アクメの硬直を終えた腰がすとんと落ち、今度は逆にピクリとも動かせない。
 寂寥感を抱いたまま名残惜しく蠢く淫唇から引き抜いた魔理沙の手首を、私は左手で掴んで口元へ運んだ。淫汁の匂いが鼻腔を抜ける。マン汁塗れの魔理沙の手に舌を伸ばし、指フェラでそれを綺麗にしてゆく。

「ん、ちゅ……まり、さ……」

 結界からはみ出した私は、自分の淫液でしとどに濡れた魔理沙の、いや自分の手をべろべろと舐めまわして、停止した思考のまま肉欲の淵をたゆたう。
 雨はまだ上っていない。雫が騒ぎ立てる無数の音に闇がのっそりとのしかかっていた。じっとりと湿気を帯びた空気が淫液と汗の匂いを抱いたまま離さない。時折、じり、と音を立てる灯火の仄暗さが、私の心のようで。

「激しい逢瀬ね」

 突然の声に、しかし私は驚きはしたが慌てるほどではなかった。少し跳ねたままの息を整えながら、声のする方へ視線も遣さずに返す。

「激しくて、だのに空虚。」
「勝手に入ってこないで頂戴。」
「つれないのね?」

 紫だった。
 私は溜息をついて湿っぽく重みを増した布団を跳ね除けて立ち上がる。替えの下着と寝間着を出そうと箪笥へ向かう。
 一方の彼女は、傘こそ持っていないがまるで変わらぬいつもの姿。

「ちょっと野暮用があって来てみれ……」

 へらへらと神経を逆撫でる笑みを浮かべる紫に、私は。

「……いくらなんでもこれは酷いのじゃない?」
「あんたのデリカシーの無さに比べれば、大体の事はゆるされる」

 思い切り強い浄化の札を叩きつけていた。紫はそれを逃げることも避けることもせず、素手で受け止めている。札の触れた辺りがまるでモザイクになったように映像を乱し、それが瓦解して拡散するように、紫の手が分解されてゆく。映像が揺らぐたびに薄いガラスが割れるような透き通った音が響いていた。

「野暮用くらい聞いてよ」
「野暮用なら聞かないわ。出て行って。」

 箪笥を引く私に覆いかぶさるように、紫が手を伸ばして来た。札の触れていないほうの手は引いていた箪笥を推し戻し、妖質が分解されかかっている方の手を私の肩にかけている。妖怪らしい妖しいまでに白く細く整った指の形が、一番先端だけ取り戻されていた。それ以外は分解が進み、原色のモザイクを間に挟みながら、元の雪のような白い肌と蜥蜴の皮膚のような醜い肌を行き来している。

「あなたの自慰が終わるまで待っていたの」
「悪趣味」

 推し戻された箪笥を引くのを諦め、だが彼女に背を向けたまま悪態を吐く。

「今なら聞いてもらえると思って」
「野暮用なら聞かないといっているでしょう?」

 ぱりぱりと響く煌いた破砕音は、まだ続いている。肩に置かれた手から響くそれは、私の耳に逐一突き刺さる。

「こんな日を待っていたわ。あなたの想いがばらばらに砕け散って、混沌に変容するのを。」
「振られた腹いせ?
「いいえ。反撃。」」

 ぐい、とその手が私の肩を引いた。特に抗うつもりもなかった私は彼女と向き合う。

「反撃?」

 私が疑問の声をあげた口を塞ぐように、彼女の口が重ねられた。私が首を振ってそれを払おうとすると、爬虫類と絹の肌を振幅する腕が、私の顎を掴んで止める。
 きっ、と彼女を睨み付けると、だが紫の方はと言えば毒気を抜かれるほどに穏やかな表情をしていた。それはまるで紫らしくない、だが紫の本質を考えると彼女にはそれ以上に相応しい顔などないようにも思えた。それに気を抜いた一瞬を、紫は見逃さない。
 私を箪笥に追い詰めるように体を寄せ、肩を掴んで箪笥に押し付けず、もう片方の手で私の右手首を掴まえて、やはり箪笥の全面へ押し付けて私を磔にした。自らの膝で私の脚を割り、無理矢理に足を広げられる。フレアの強いスカートでは無理そうな行為を、自身の能力を巧みに使って押し通して来た。
 もとより本気ではなかったこともあり、私の集中力の途絶えとともに浄化札の効果は切れている。今や私を押さえつける腕はすっかりと白皙のそれに戻っており、そのことが彼女の行為の抑制をなくしていたかもしれない。

「んっ!ぶっ、ふぐっ!!」

 首から上で続いていたのは、それはキスではなかった。口と唇、舌と唾液による、レイプ。唇と歯茎の間にどろどろと唾液を流し込まれている。お茶でも飲み損ねたかというくらいの大量の唾液は、紫が人間ではないことを物語っていた。
 口の端、顎を伝って、滴るというよりは既に流れ出るというほどの唾が、胸元を、そしてそのまま臍、陰部、太腿へと滝を作っている。流し込まれる夥しい量にむせ返り、思わず口を開けたところに進入してくる長い舌。舌を上顎につけて抵抗しようとするが力強くしかも二股に分かれた下の前にすぐに捻じ伏せられ、口中を縦横無尽に嘗め尽くされる。

「んーっ!……っふ!んぐっ、んぐ!~~~っ」

 びちゃびちゃと粘性の強い唾液は止め処なく注がれ、私の脚を割った膝がその滑りを太腿へ、陰部へ、擦り付けている。一度燃え上がった後の熱が燻っていた。太腿の、脇腹の、首筋、背筋の肌が、粟立つ。
 私の口を犯す紫の口も留まらない。右と左の頬の内壁を同時にねぶり上げ、歯茎を愛撫して私の舌を吸う。じゅるじゅるいやらしい音が、私を耳から犯し、理性を崩していった。
 紫とよく肌を重ねていた頃の話。よく、なんてものではない。昼も夜もないくらいセックスして、頭のてっぺんから爪先まで紫の性行為に染められていたあの頃。人外の手で与えられる刺激と快楽に溺れ、私の体はそれを覚えてしまった。まるで人間とは思えない強い性欲もそう、子宮の奥で感じる性感もそう、肥大化したクリトリスもそう、何より、腋で感じてしまう体にされてしまったのも、紫に、言ってしまえば開発されたものだ。
 以来、腋に腋の皮膚以外が触れればそれだけで性感が刺激されてしまい、まともな服など着れないでいる。
 私は狂わされたのだ、妖怪・八雲紫に。
 そして肉欲に溺れる私を見て、紫自身はほくそ笑んでいた。幻想郷を支えるインフラとして、何の疑問も抱かずに彼女に従う便利な道具として、私は飼い慣らされ調教されていた。そして、それに気付かせてくれたのは。

(魔理、沙……)

 呼び起こされる刻み付けられた性感の果てに、うっすらと浮かぶ彼女の影。人間らしい人間。私の人間の部分を手綱に、私を人間側に引き戻そうとしてくれた人間。目を閉じた瞼の裏に描かれる彼女の屈託のない笑顔。それが、砂に描いた絵が風に流され消え行くように、さらさらと流れてゆく。
 紫の舌が私の口を更に奥まで進入してきた。二股に分かれた二本ともを紙縒りの様に束ねて、私の口を、いや、喉へと。

「ぐごっ!んぶっ……んーっ~~~っ!っぶ」

 私を顎から飲み込まんというくらい口を大きく開けて私の口と合せを結び、その舌を食道へと差し入れる。試験管を洗うブラシのように、ずるっずるっと喉を内部から上下に扱き上げられて、私の体はそれを吐き出そうとえづいている。

「う゛、ぅお゛ぁあぇ……っ!んっ、ぶ、ふぐぉ゛っ」

 涙で霞んで前が見えない。嘔吐を求める体。口レイプ。だが私のヴァギナは、確かに喜び綻んで彼女の膝に唾液以外の滑りを滴らせていた。喉の奥を犯される快感。紫のディープキスで、私は常軌を逸した快楽に流されていた。微かに見える紫の目は、三日月のように鋭く細く、何より禍々しく光っている。
 紫の舌は食堂を通り過ぎて胃に達していた。お腹の中がぐちゃぐちゃと掻き混ぜられる嫌悪感と、同時に湧き上がる壊れた肉欲。口を塞がれた息苦しさが鼻息を荒くするが、紫の唾液が逆流して鼻水のように溢れ出てくる。

「お゛ぶ……ん゛ん゛ぐっ!ぶじゅ!ずずずっ!」

 そして胃の中を暴れ回る舌を、紫は前触れもなく一気に引き抜く。

「~~~~~~~~~~~~っ!お゛ぶえ゛ぇ゛ぇえ゛ぁ゛っ!げぶぉっ!げほっ!げほぉっっ……っぶ、ぉぐぼぁぁ゛ああっ!!ーーーっ゛、~~~゛ーーっぶぇ、ぇ、ぁぐ……」

 胃の中にあったもの。紫に流し込まれた大量の唾液。それらが全て逆流して溢れ出した。胃の中を散々に蹂躙され、挙げ句の果てに嘔吐へ導かれるとも、私の体は喜びに痙攣していた。体中が弛緩して紫に寄りかかり、その膝で勃起したクリトリスが押しつぶされた。
 嘔吐物が食道を逆流する感触と胃液が粘膜を犯す熱さに歓喜した私の体が、遂に理性の壁を突き破ってオーガズムへ上り詰めた。吐瀉は収まらず、鼻からも逆流が起こっている。胃酸の刺激と嘔吐物の悪臭。涙、鼻水、嗚咽……絶頂。
 紫は私の汚いものを全てその身に受け止めて、満足そうなそれでいて優しい笑顔を浮かべている。抵抗の意志を失った私の腕と肩を離し、彼女のその手は私を……強く抱きしめていた。

「ぇ、ぁ……うっ」

 嘔吐アクメに息も絶え絶えになっている私の顎を掴んで、紫は再び口づけてくる。

「霊夢……」

 私の口の周りに付着した嘔吐物の残滓を、丁寧に舐め取って行く食物の残骸は唇で啄み、溶解したゲルは舌で掬い上げて吸い取る。嘔吐物のむせ返る匂いにも嫌悪感一つ見せず、慈しむように頬を摺り合わせて。緩やかに微笑むその表情は、私を包み込む、母のそれのようで。強く抱きしめられると無条件に心が安らいでしまう。

 そうだ。私が紫に落ちたのは、常軌を逸した性感故のみに因ってではなかった。時折見せる、この優しい……
 いつの間にか雨はやんだようだった。あんなにけたたましく響いていた雨音が、今はすっかりとおさまって、しん、と静まり返っている。雨が通って空気が澄んだせいか、そのしじまはより一層濃いものにさえ思えて、私とゆかりの息遣いの音さえも耳の奥へしっとりと染み入ってくる。

「霊夢。何故私を遠ざけたの?」

 抱きしめられ、お互いの肩に頭を預けながらの姿勢で、彼女が問うてきた。

「……妖怪だから。いいえ、私を籠絡しようとしたから」
「籠絡」

 悲しそうな声。だが事実だ。
 この幻想郷をどこか外の世界から切り離すための強大な博麗大結界。それを維持するために、紫自身から切り離された自律管理システムとして機能しているのが、博麗の血であり、博麗大社という物理インフラ。何代ものあいだ疑問を抱くことさえ許されず、ただ幻想郷内の秩序を乱す妖怪を平定し、結界のメンテナンスをしながら一生を過ごす。人間の体を持ちながら本質的に人間ではない。
 システムではあるが根元的な実体を持たず、博麗という定義がどこか私の知らない場所でなされているために『存在していることになっている』という情報存在に過ぎない。
 幻想郷のあらゆるものは、私を傷つけないという契約を結んだ上で博麗台結界の中に存在している。たとえ若いヤドリギの芽でさえも、例外はない。私が負けないように立ち会えば、弾幕ごっこだろうが殺し合いだろうが、負けないように出来ているのだ。それを違える事が出来る存在は、幻想郷の中には数える程度しか居ない。
 便利とか、最強とか、はやし立てる者もあるだろうから、気を許した相手にしか明かしてはいない。だが。だが、わかるか。この孤独が。人間には置いていかれ、超常存在を置いて行くこの居場所のなさが。記憶と精神レベルは人間なのに、課せられている力と運命がそれではないこの苦しみが。

「システムとしての私を、手込めにしておきたかったでしょう?」
「……あなた、自分を何だと思っているの?」

 は?何よその言いぐさ。
 収まっていた嫌悪感が、ふつふつと戻ってきた。
 彼女の抱擁を突き放し、私は紫と対峙する。

「あんたが作ったものでしょう!?この幻想郷も、博麗大結界も、それを維持する自律制御システムの半身としての私も!何が!何が、何だと思っている、よ!……っは、はは、あんた、つくづく演技が下手よね。今の一言がなかったら、私はまたあんたの飼い猫になっていたかも知れないってのに。」
「霊夢。あなたは自分のことを消耗品だと思っているようだけど」
「そうでしょう?人間の肉体と、それに縛られた精神と記憶。なのに詰め込まれているのは永続のシステム。幻想郷(このせかい)の秩序を守るための不傷契約(インビンシブル)。永続部分だけでことが足りるのに、何故有限の容れ物にしたのか。答は簡単。あんたほどの強大な存在以外に、それらのシステムを搭載して、永続運用に耐え得る容れ物がないから。だから入れ替えが効く、生産コストが低い割りに精神発達度の高い人間を使った。違う?」
「違わないわ」
「ほらみなさい!私が、人間のちっぽけな頭ではそれにすら気付かないとでも思っていたの!?ねえ!?」

 紫は何も言わない。

「……知ってるのよ紫。あんた、最近人間を食べていないでしょう。私はちゃんとご飯食べてるわよ?ただの穀物と野菜とだけど、ちゃんと食べているの」

 私は空に九印を切る。紫を取り囲むように十六枚の札が現れそれらが四枚ずつの四組、間に魔力紡錘線を結んだ。紫が得意としている強力な結界、博麗大結界のミクロなミニチュア、四重結界。何度も見る間に、隠れて研究をしている間に、真似出来るようになったもの。それを、紫へ向けて、紡いだ。

「手入れを怠った高級品と、真新しい使い捨て、どちらが上かしらね!?」

 私は何をしているのだろう。
 紫に当たったところでどうなるだろう。
 今の紫は本来の力の内わずかしか発現できていないのは事実だ。だが、だからといって私に対峙できるレベルのところまで減衰しているとは思えない。それに、それ以上に、彼女を本当に退治してしまって何になるだろう。

「もうイヤなの。脆弱な容れ物も、永遠の契約も、どっちも私には重過ぎる。人間の体なら、人間が背負うべき程度のものしか要らない!永遠のシステムを搭載するなら、もっと強い体がないと耐えられない!」

 それは博麗大結界が破れるとかそういうことではない。
 重要なのは私の中で一体何の決着が付くというのかということだ。
 恐らく、何もない。彼女と刃を交えたところで、何も得るものもない。何も変わらない。失うことや終わることがあっても、きっと、何も。
 それでも止められなかった。わかっていてもやめられなかった。

「霊夢、やめなさい。」
「やめない!だったら、止めてよ!私を!力づくで私を捻じ伏せて、不傷契約(インビンシブル)なんてちっぽけなものだって思い知らせてよ!私は人間でいるべきなのか、不可侵な何かでいるべきなのか、どっちなのか教えてよ!!」
「……弱いのはあなたの容れ物ではないでしょう。」
「『人間』よ!人間は弱いの!あんたみたいな神様と同じような強さなんて」

 紫のやり方から習得した四重結界を、しかし彼女はそれに触れることを全く恐れもせず進んでくる。

「弱いのは容れ物の方じゃない。」

 私に手を伸ばす紫。その腕は……四重結界をすり抜けていた。術式が失敗しているわけではない。見様見真似とはいえ彼女にいとも容易く中和される結界でもないはずだった。

「弱いのは、霊夢、あなたの心よ。その結界面強度が、全てを物語っているわ。誰かを求めて叫ぶ者に、拒絶の結界は使いこなせない。わかるでしょう?博麗大結界の常時維持以外にあなたが扱う結界、ほとんど穴だらけじゃない。それこそ、霧雨の娘が抜けられるくらい。」

 紫の腕が、再び私の肩を掴んだ。結界が掻き消えて、私と紫の間には何もなくなる。なにも、なにもだ。

「博麗の巫女。あなたに人間の肉体を与えたことは本当に心苦しく思っているわ。でも、私はその有限性を、キャパシティ以外の意味で利用しようとしたわけじゃない。」
「……」
「霊夢、あなたを、そういう目で見たことなんて、一度だってなかった。」
「うそよ」
「本当よ。」

 紫の瞳が、私を貫く。

「正直に言ってね、霊夢。あなた以外の巫女なんてどうでも良かった。それこそ『替えの効く使い捨て』位に思っていたわ。機能的には、なればこそ、の働きであったし。そう、どうでもよかった。あなた以外は。」
「私だけを好む理由がないわ。言い逃れね。」

 紫が一歩足を踏み出して、私との距離を詰める。私より頭半分背の高い彼女は、私を見下ろすように。でもその様子に高慢さも押し付けがましさもない。ただ、そう、包み込むような。手が、私の両肩に添えられて。力なんて入っていなかった。なのに私は、身動ぎ一つできず、彼女が投げかけてくる視線から、自分の視線をもぎ取る事も出来ない。

「人を嫌いになるのに理由はあるわ。さっきあなたが私に言ったみたいに。それは当人の生き方にかかわることかもしれない。全然関係のない些細なことかもしれない。それでも」

 紫の顔が、近づく。睫が交わりそうなくらい。彼女の瞳に私の瞳が映りこんでいるのさえわかる。鼻先と鼻先が触れ合い、少し、顔が傾いだ。

「人を好きになるのに理由なんて、ない、でしょう?」

 唇が重なる。
 何もない。
 舌が唇を割ることも、それどころか唇同士を押し付けたり、唇で唇を食んだり、そんなことさえない、ただ本当に触れるだけのキス。
 その姿勢のまま、心臓が何度脈打つか数えられるくらいの騒がしい静寂。長い一瞬が氷にひびを入れる。
 ゆっくりと離される唇は、小さく囀るように言葉を紡いだ。

「『好き』と『嫌い』の境界は、私にも弄れないのよ。だって、その二つは『隣合わさっていない』のだもの。」
「私は……」
「霊夢は、私のこと、嫌い?」
「嫌いだわ」
「霊夢は、私のこと」
「……好き」

 やっと動いたと思った体は、さっき犯されたときのように、紫へと体重を預けてしまった。体を犯され、今度は心を犯された。どちらも、嫌ではない。むしろ、心地いい。

「霧雨の娘は、あなたを好いてるかも?」
「わからない」
「でもあなたはその気持ちを受け入れられない。システムだものね?」
「……」
「私はあなたを好いているわ、霊夢。」
「わからない」
「でもあなたはその気持ちを受け入れられない。人間だものね?」
「……」

 それを、ぶり返すのか。

「あなたはどちらも選べない。霊夢。博麗霊夢。あなたは」
「それじゃあ、それじゃあ何も変わらないじゃない!」
「そうよ、霊夢。あなたは人間。同時にシステム。さっきあなたはどちらか教えてくれと言った。教えてあげる、『両方』よ、霊夢。その事実、自分で叫んでいたじゃない。『人間』で『システム』。どっちかなんかじゃ、ないの。ねえ、博麗の、巫女?」
「いや!もうそんなの重たいの!歩けない!両方なんて重たすぎる!私には、私は、私であればいいのに!人間とかシステムとか、もう、もう沢山なのよ!!」
「霊夢。あなたは何故霧雨の娘を選べない?」
「私がシステムだから」
「霊夢。あなたは何故私を選べない?」
「私が!人間だから!!」
「霊夢。あなた、自分を何だと思っているの?」

「私は、『人間』でも、『システム』でもどっちでもない、ただの『私』なの!!どっちでもない!『博麗霊夢』なの!!」

「よく言えました」
「……え?」

 紫が、私をぎゅ、と抱きしめた。

「さっきのリドル。『あなた、自分を何だと思っているの?』。」
「あ……」

 紫がくすくすと笑っているが、私はそんな気になれなかった。自分の中にある答を、紫の手を煩わせてようやく見つけたのだから。恥ずかしくて彼女の顔を見られない。
 安堵からか、体から力が抜ける。力が入れられない。これも、さっき体を犯されたときと同じだった。

「何から何まで、結局あんたの思惑通りじゃない……」

 そんなつもりもないのに、つい頬を膨らしてしまう。

「そうでもないわよ?」
「あらそう」

 脱力したままの私をひょいと抱きかかえて、湿っぽい、一組しかない布団へ運ぶ。

「霊夢には選んでもらわないといけないわ。私の意志は関係なく。」
「え?」
「霧雨の娘への気持ちを整理して、私か、彼女か。それとももっと別の誰かか。あなたの意思で選ぶのよ『博麗霊夢』。」






「久し振りね」
「そうね。正直もうないって思ってた」
「……私は違うけど」
「あんたはいつも自分の思うとおりに事を運ぼうとするからね」

 この布団じゃなあ、といった私に、しかし紫は、今代えても明日代えても変わらないわよ、と妖しく笑う。

「せめてお風呂入ってからにしない?」
「いや」
「だって……」
「だからいいんじゃないの」
「変態」
「お互い様でしょう?」

 紫には敵わない。小さく息をついて絶対に眠れそうにない布団の上にうつ伏せになって紫の方を見る。そういえば最初から全裸だった私に対して、紫は終始服をまとったままだった。

「不公平」
「ええ?」
「紫はずっと服着てた」

 そんなこといわれても、と苦笑いする紫。

「灯り、消すわね?」
「だめ」
「ええっ?」
「紫が脱ぐの、見る。変な能力とか使わないで、脱いで頂戴。」

 私の言葉を無視して灯火を消そうとした紫に博麗アミュレットを投げつける。

「あてっ!」
「ゆーかーりー?」
「いやよう」

 再び灯火を消そうとする紫に、妖怪バスター。ちっ、よけたか。

「っちょ、それは危ない!」
「脱いでよ!」
「脱ぐわよ!消してから……いたっ、いたたっ、陰陽玉投げないで!いたた」
「おあいこでしょう?」
「やぁよ。」
「なんで。紫は私の裸ずっと見てたじゃない」
「それは別よ。見てる前で脱ぐなんて、は」

「はずかしいじゃない……」

(!!)

 赤くなって目を逸らす紫。なんか変なスイッチが入る私。

「い、い、いいい、い、いいから脱ぐ!私が見てる前で!」
「れーむがこわれたぁー」
「っさい、脱げ!視線で穴開け殺してやる!!」

 土人もびっくりな言い草に、紫は渋々服に手をかけた。
 手袋を脱ぎ、次いで陰陽を象った模様の、前後に垂れた布を頭から抜くと、下に着ているのはフリルとフレアだらけの純白のドレスだった。ストッキングを下ろし、それを畳んで手袋と飾り布の上におく。ドレス一枚になったところで、ちらりとこちらを一瞥してから少し体を横に向けて背中に手を回した。少し前かがみになってドレスの背中のファスナーを下ろす仕草は、なんというか、艶っぽい。

「あ、あんまりじろじろ」
「いいや、みるね。」
「もう……」

 気分はエロおやじ。
 ドレスの袖から腕を抜くときの肩のくねりなど、紫ほどの美人がやると凶器だ。
 両腕が袖から抜け、そこから上から脱ぐのかと思ったら、すとんと下に落ちた。ブラとショーツだけになった紫は、流石に後ろを向いてしまった。ドレスを畳んでから、ブラの紐に手をかける。背中に手を回すときにできる背骨のラインが、艶かしい。

「……見すぎ」
「幾ら見ても見すぎる事はないわね」
「助平」

 最後、ショーツをするっと脱ぎ去って、最後に髪留めを外した。
 さらり、とウェーブがかったブロンドが灯火に照らされてきらきらと輝いた。絹を黄金で染めたらこうなるだろうか。

「そんなに見ないでよ」

 脱いだわよ、といって今度こそ灯りを消そうとした紫を、私はまた制止した。

「今度はなによう」
「紫、綺麗」
「消すわよ?」
「もう少しだけ。お願い。」

 小さく溜息をついて私の視線を受け止めてくれる紫。恥ずかしさからか視線は明後日のほうを向いて、頬は薄く染まっている。灯火に光るブロンド。雪のような白皙。滑らかな曲線を描く体と、そこからすらりと伸びた四肢。傾国、とはこういうことだろうか。

「も、もういいでしょう?」
「あっ」

 紫は是非も無く火を消してしまった。枕元にある小さな蝋燭だけが辛うじて橙の光をもたらしている。紫は滑り込むように布団に入りこんで来て、非難がましく囁いた。

「エロ巫女」
「それで結構」

 膨れる紫。いつも掴み処がなかったり、おぞましい妖怪だったり、圧倒的な超越者だったりする紫は、だが時として誰よりも少女。時折見せるその幼い振る舞いが、私には正直不思議だった。

「紫ってたまに変に女の子よね」
「……なんか凄く失礼なことを言われていない、私?」
「褒めてるのよ」
「どうだか」

 するり、と彼女の腕の中に潜り込む。彼女はそれをふわりと受け止めてくれた。

「女は、いつまでも『少女』っていうOSで動いてるのよ。」
「おーえす?」
「全員『少女病』ってことよ。私も、あなたも、ね。」

 そういうもんなのだろうか。私が年老いてしわくちゃのおばあちゃんになっても、こうして誰かに好意を抱いたり、それが原因でけんかをしたりするんだろうか。二人の間で心を揺らしたりすることがあるんだろうか。俄かに信じられない。

「少女は、少女に恋をするのよ。少女病。そして、罹患した者は永遠に可愛いの。」
「病んでるわね、その思想。」
「病気だもの。」

 くす、と笑って私を見、布団の中の私をきゅっと抱きしめてくる。

「好きよ、霊夢」
「私、は……」

 好きだ。好きだけれど、それを口にしてしまっていいのか。さっきはぽろりと漏らしたが、もし、魔理沙への気持ちが勝っていたら?魔理沙への気持ちが『好き』ではなくて紫への気持ちが『好き』であったならいい。もし逆だったら?

「慌てなくていいわ。だってあなた、今『わかった』ばかりじゃない。」
「……うん」
「のんびりしてくれれば、それだけ人間のライバルは減るし」
「そういうこと?」
「冗談よ。」
「どうだか」

 未整理で未分化で未成熟で未完成で。それが、私。まだ、何もわからない。

「でも」
「うん?」
「でも、紫と、私」

 言いにくいことを言いあぐねていると、紫はそれを汲み取ってくれた。意地悪く。

「よくわかんないけど、えっちはしたい?」
「デリカシーなさすぎ」

 でも、そのとおり、と呟いてキスを求めると、応えてくれた。優しいキスがほしいときに、ちゃんと優しく唇をくれる。ちょっとだけ吸い付くようなキスは、ちゅ、と音を立てて軽く歯に触れるくらい。

「私は下心有りだし、なんでもするわ」
「そりゃあいいわね」
「あんまり調子に乗ると、食べちゃうわよ、人間?」
「うん……食べ、て……?」

 私がそう言うと、紫が一瞬荒く息をつき、私は瞬く間に紫に組み敷かれる恰好になっていた。彼女の目は、捕食者のそれのように鋭くて、同時に怯えた小動物のようで。

「霊夢」
「逃げたりしないわよ」
「本当に?」
「本当よ」

 少女病か、悪くないな、なんて。
 私は紫の首筋に腕を回して彼女を抱き寄せた。紫はそれに乗じて私の首っ玉にかぶりついてきた。肩から首へ結ぶラインに頬を寄せて擦り、一頻りそれが終わると、今度はそこにキスの雨を降らせてきた。そして、ちゅっ、と唇を乗せたと思うとそのまま強く私の肌を吸い出すように最後の何回かは、強く。

「紫、あと、ついちゃ……」
「つけてるの」

 彼女が私の首筋にキスをするたびに、ブロンドがさらさらと私の鼻先をくすぐる。紫のいい匂いが鼻を抜けて、そしてそれが性欲に直結してしまう。私は彼女の頭に腕を回して強く抱いた。それに応えるように紫もまた、私の背に回した腕の力を強め、だが左手は巧に私の脇の下をもぞもぞと動き回っている。

「ゆか、りぃっ」

 体の芯が熱くなる。火照って解れ、そして、滴る。粘膜でもない腋への刺激が、しかし粘膜でないにも拘らず大きな快感を産みだす。ぴりぴりと強すぎるほどのそれは上半身から頭へ、そして腰へと伝播して、脳髄を蕩かせて秘唇を綻ばせる。

「っちゅっ。霊夢、ここ、まだ弱いのね」
「だれの、せいよ……んひゃっ!ちょっと、腋ばっかりは、だめ……

 私が小さな悲鳴を上げると、それを待っていたとばかりに、腋への刺激を強く速く。

「ばっ!だめ、って……ゆか、ゆかぃ……腋扱きだめ、ずるっいっ……へぅん!」

「霊夢、可愛い、可愛いわっ……」

 腋をごしごしと扱かれて悶絶する私を目にして、紫もまた域を荒くしている。彼女の太腿が私の淫裂と肉芽をゆっくり前後に擦り上げている。いや、擦り付けているのは、私の腰の動きの方だった。紫が押し付けている太腿に、私は腰の動きで股座を押し当ててずりずりと否、既にぬるぬると、擦り付けていた。時折思い出したように紫の脚が蠢き、その刺激にアクセントを与えてくる。

「勃起クリ脚に当ってる」
「紫、紫っ!あ、んっ、ひ、あ、あ、あっ!!そ、そんなこ、と、いわないで……」
「だって、こりこりしたの、太腿に当ってるんだもの。霊夢のえっちなぬるぬるで固いクリの先っちょがくくっ、って滑りながら自己主張してるの。おちんちんみたい」

 蔑むでないが、私に被虐嗜好を植えつけるようなねっとり絡みつく囁きを、耳から流し込んでくる紫。腋からの刺激と耳からの想起で、頭の中が溶けたゴムみたいになっていた。
 首筋から口を離した紫は、そのままその鼻面を私の脇の下へと潜り込ませる。そして思い切り口を開けて唾液を零しながら私の腋で舌を躍らせる。空いた方の脇にも手を潜らせて、両腋ともを執拗に責め立てられる。

「んはひゃぁあっ!」わ、腋舐めひゃ、んんんっっぅ゛!!わき、腋クンニ、らめへえぇ……!かんひ、かんじしゅぎひゃゃぁぁぁあああああっ!んぉ、んほぉおぉ゛ぉ゛おおっ!!!」

 かくん、かくん、と頭が揺れる。小さな失神と覚醒をひっきりなしに繰り返す軽い絶頂。ただ股間を圧迫されたまま脇を刺激されただけでアクメする私の体。
 何かに押し流されそうになるのを必至に耐えるように紫の頭に腕を回してしがみ付くと、頭を固定された紫は腋へのクンニリングスを続けてきた。私は絶頂に絶頂を重ねられ、足場も制御もない高速飛翔を強いられる。降りたくても降りられない。腋だけで、腋だけでこんな風になってしまう私を作ったのは、紫そのひと。

「ゅかりぃ……も、お、もお、ゆるし、腋アクメもう、たえらりぇ……んひぃ゛っ……!」

 股の間の何かの力が、するっと抜けてしまった。

「ぁ……っ」

 まずい、と片隅に残された理性が声を上げたが、それ以外の私は全て弛緩した体をどうにか出来はしなかった。
 股の間に暖かい感触が広がってゆく。そして水気。それはどんどん広がって私と紫とその間と布団を侵食して行った。びちびちと肌理の細かい紫の太腿を、それが打つ音さえ聞える。

「ゆか……わ、わた……」

 失禁は一度始まると収められなかった。紫の太腿目掛けて小水を引っかけ続ける。恥ずかしくて紫の顔を見られずぎゅっと目を閉じる。

「霊夢ぅ?」
「ぅぅ……ごめ、ん……」

 悪戯っぽい声で、紫は私の耳元で囁く。まだ吹き出し続ける奔流の根本に手を伸ばして掬う。匂い立つそれを私の鼻先へ晒し、静かに、だが強く私へ囁きかけた。

「目を開けて」
「いゃぁ」
「もうお漏らしは止まったでしょう?」

 紫の声は、抗い難い強制力を持っていた。それは彼女が神にさえ並ぶとまで言われる妖怪故なのか。それとも、想い人故に持つ拘束力か。どちらであるにせよ私は、
目を開けざるを得なかった。
 目を開けた後に拡がっていたのは予想と全く違わない光景。即ち、私の汚水を掬った紫の手が目の前にあるという映像。

「博麗の巫女が、お漏らしなんて」

 その映像を認めた瞬間に浴びせかけられた、紫の声。罵るようで、嘲るようで、しかし行き過ぎず丁度私の被虐の悦を刺激してくる声。
 紫はぱしゃ、と私の顔に、私自身の吐き出した汚水をかけた。
 鼻孔を貫く悪臭、顔の曲面を流れる汚物の象徴。

「綺麗よ、霊夢」

 汚く臭い液体に塗れた私を、しかし紫は舌を伸ばし、唇を寄せて愛で始めた。キスがキスを押し流すくらいに、激しく連続した接吻の嵐。流れる滴を舐め取り、その匂いさえ吸い尽くす位の紫のそれに、私は押し流され始める。

「紫、汚いよ……」
「霊夢のものに汚いものなんて何もないわ」

 目や鼻、口に流れ込んでくる尿を、紫は全て綺麗に舐め取った。最後の一滴をその舌ですくい取った後、紫は自分の額を私の額に、こつん、と当ててきた。

「霊夢の全てが、好き。信じて」

 視線は交わらなかった。彼女に後ろめたい何かがあったからだろうか。それでも私は紫の瞳を覗き込み、その視線が交わってから、返した。

「私も、好き。紫。だから、もっと……」

 その先はただ、多くを言葉にせず、一言だけ、告げた。

「いっぱい酷く、して」

 紫は膝立ちになって股間を私の前へ晒す。その中心には雄々しい男根が、時折ぴくんと震えながら屹立していた。

「霊夢」

 横たわったままの私を見る目はすっと細まり、そして私はそれに抗えない。もぞ、と体を起こして、先走りを滴らせそうに太く勃起したそれに手を伸ばし、両手で包み込む。ペニス自身の湿り気に加え、私はそこに口にためた唾液をろとり、注ぎ込む。紫のように沢山ではないが精一杯の粘液を絡めて、紫のペニスを両手でゆっくりと扱く。

「紫の、かた、い……」

 生唾が喉を鳴らした。しまったと思ったときは既に遅い。紫のペニスに恋い焦がれている私の音を聞かれてしまい、私は気まずさを隠すように手の速度を速める。

「霊夢、もっと、強く握っ、てぇ」

 紫の腰は刺激から逃れようと退くどころかそれを求めて私の方へ突き出されてきた。指の腹と掌に唾液とカウパーを混ぜ、それを絡めてにちゃにちゃと紫を刺激すると、彼女の表情が少しずつ切なげに歪んでくる。
 それ自体よりも、うかされたような、それでいて私を冷たく見下ろす紫の顔を見つめながら、長いペニスを刺激する。握る指に緩急を付け、仮首に当たる指の輪を締めたり広げたりしながら、同時に私自身の興奮も高めて行く。

「紫、きもちい?」
「きもち、いいわ。霊夢の手でされるの、きもちい……」

 その顔が可愛くて、思わず背を伸ばしてそのままキスをする。半開きのままのその口に舌を忍ばせ、形のいい前歯、妖怪らしく尖った犬歯、その奥で人に触れられることなど無い臼歯、歯茎、頬を嘗め回し、溢れ出てくる唾液を吸い、あるいは唾液を流し込む。

「ゆか・……ちゅ…り、ぃ」
「ん、ふっ、れ、む」

 互いの名を呼び応える返事は、もしくはその名を口にすることそれ自体は、紫がそこに、私がここにいることの確認。であると同時に、ただ相手の名前を表す『音』がを声に出すことで、愛おしい気分になれるからでもある。
 私の手が彼女のペニスを上下するたびに、彼女の体はぴくんと強張って切なそうに私のほうを見ていた。お互いを舐めあう舌は絡み、唾液を湛えて吸っては注ぎ合い。しばし口中愛撫を続けて私は口を離す。
 銀の糸、なんて綺麗なものではない。気泡が混じり、時折私の嘔吐物の破片が混じった汚らしい唾液の橋が、紫と私の口を繋ぐ。それでもそれは、その決して綺麗ではない、汚くて、異物が混じっていて、でも確かに二人を繋ぐ架け橋。私達の関係は、そんなものかもしれなかった。
 何も言わず、唇を離した距離で少しの時間見詰め合って。そのまま手で包み込んでいるそこへ、顔を近づける。

「紫、手」
「え?」
「手」
「て?」
「左も」

 訝しげな表情のまま、両手を差し出してきた紫。私はその手を掴んで私の頭を挟むようにさせる。口に唾をため、紫が私の頭を掴む様に導いたところで紫の表情を見上げると、ペニスのすぐ傍にある私の顔という光景に興奮したのか、少し、目が。そして私もそれを望んでいた。
 唾液が溜まったところで口を開く。唾液が彼女のペニスへ滴る位置で、思い切り口を開いてそれを零し、喉の奥まで紫に見せ付けるように顔中を口にして、みったくないくらいに舌を垂らして。

「ゅかり、クチおにゃほ、らよ……?」

 口を閉じないで喉穴を見せつけ、舌を垂らしたまま、舌っ足らずな声で紫を誘う。私の頭を掴んでいる彼女の手に力が篭るのを待ってから、私は彼女のそれを口に含んだ。だがそれだけ。動かずに、紫のおちんちんを咥えたまま、上目でその方を見る。

「いいのよね、霊夢?」

 頭に乗せていた右手を私の頬へ添えて、紫が問うて来た。さっき私を口でレイプしたくせに、和姦の一貫になると妙に慎重で。私は答える代わりに少しだけ舌を動かし、喉の入り口程までそれを飲み込んで、紫を促した。紫にされる仕打ちに胸が高鳴り、左手を床に突き、右手は股の間に添えている。クリトリスは既に巨大に肥大化して、触れるだけで液体化して中にぱんぱんに溜まっている快感を撒き散らして破裂しそうになっていた。
 紫が手を頭に戻す。乗せる感じだったそれをずらし、こめかみから掴むように私の頭を挟み込んで

「んっ、んご……ふ」

 いきなり喉の奥まで貫かれた。
 紫と私の相性は申し合わせたようにピッタリだった。両手をついて四つん這いになった私の喉の高さと、膝立ちになってペニスを突く高さが、ほとんど同じで、私が拒絶さえしなければ――いや、しても――紫の長いペニスが私の喉を真っ直ぐに貫く。口腔粘膜に染み入ってくるペニス汁の味。鼻腔を抜ける牡棒の匂い。喉の奥へ侵入してくる亀頭は、先の舌の太さの比ではない。返しの効いた雁首が喉を逆行するたびに、すっかり媚器官に変貌した食道をごりごりと刺激し、えづきながら法悦への階段を登らされてしまう。

「んぶ、んっ!んぐ……くひゅうっ」

 紫のイマラチオは時間とともに激しさを増し、彼女のイチモツもより一層大きく膨らんでいった。喉穴が拡張され、逆流するなんだかわからない液体が、行き場を誤って鼻から吹き出る。紫は私をすっかりオナホールとして扱ってくれていた。唇と口腔と喉笛が、彼女のための性具。

「霊夢、れいむっ!霊夢の喉っきもち、ひっ……」

 さっき挿入された舌なんてメじゃない。ズ太い勃起ペニスが口から入って喉の奥、首の付け根辺りまでを完全に貫いている。今も前後しながら少しずつ奥へ侵入して行っている。紫のおちんちんは竿部分が長すぎて、私の膣では受け止め切れない。アヌスも結腸の曲がり角で突き当たってしまう。だが喉は違った。口から入って食道を下り、胃を貫いて幽門付近まで、その長さを持ってすれば、私は紫を受け止められるんだ。
 喉が痺れる。快感に。膣に指を突っ込んでぐっちゃぐちゃに掻き混ぜた感じが、喉の奥から湧き上がってくる。

「フーッ、フーッ!んっごごぎ……ぶぶっ!」

 食道を通るには幾許か太すぎる異物の通過が、喉を圧迫する苦しさと、炸裂する快感とを同時にもたらす。吐き気、窒息、性感、愉悦。直接挿入されているわけでもないのに、私のヴァギナはぱっくりと割れ、ポンプが押し出すほどの勢いで白っぽい愛液を噴出していた。腰が勝手に揺れてその淫らな飛沫をあちこちにぶちまけ、その上でびくびくと勃起したクリトリスを、私は乱暴に、毟り取るくらいに乱暴に、刺激する。大き過ぎる快感に声を上げたいがそれは塞がれていて、代わりに涙や更なる愛液に化けて体から噴き漏れていた。

「霊夢の喉マンコ、のどまんこ気持ちいいっ!!すごく、ぐううううって締まってぬるぬるしてて、胃液もちくちくして熱くて、最高にきもちいいわっ!!やっぱり、やっぱりだめかもっ!ん、ふうっ、あ、ぁ、あん、霧雨の娘になんか、渡せないかもお!このまま霊夢を私で染めつくしたいっ!霊夢の全部が、全部が、欲しいのっ!!」

 言葉が強く途切れるたびに、がつんがつんと肉棒が肉筒を進んでくる。もう、先端が胸の辺りにあるのがわかる位だ。快感にびくびく揺れるペニスが、喉の肉から伝わってきた。奥へ進むに連れて紫が私の頭を掴んで前後させるストロークも深くなり、彼女自身も腰を振っていた。喉許だけを突っついていたときとは異なり、胸の辺りから口の入り口までをしっかりと往復させられる。時たまちんぽは口から抜け、その度に私は唾液と胃液とガマン汁を奥から溢れさせ、びたびたと吐き出し零しぶちまける。

「お゛ぐっご……ぶぐえ゛え゛え゛え゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇえぇ……」

 口からペニスが抜けた瞬間、溜まりに溜まった嘔吐感が爆ぜ、もう出すものなどほとんどないというのに紫のカウパーとか自分の唾液とか胃液とかが混じったものを勢いよく吐き出す。
 紫がしてくれるのなら、嘔吐さえ快楽行為。紫曰く、それ射精と同じだわ、だと。喉を熱くてどろどろしたものが通り抜ける度に頭の中が真っ白にトぶ。びくびくと体が震えて次から次へそれを求めてしまう。

「えほっ、けふ、げはっ、ぁ……」

 溢れるものが溢れ切ったところで喉穴セックスが再開され、再び喉マンコにペニスをぶち込まれる。喉膣粘膜を擦り上げられる快感が再び増幅して私はまたアクメにのた打ち回る。
 最早勃起クリや腋がいかに大好きなポイントだろうと、それを弄る余裕はない。崩れそうになる体を両手で必至に立て付けて、吹き飛びそうな意識を必死に繋ぎとめる。喉をペニスが通り抜ける度に絶頂し、挿入を求めて膣口が開いて、子宮が下りて来ていた。
 紫は、すっかりと肉欲に濁った私の目を見て、荒い息を整えながら言う。

「霊夢、わたし、いきそ、うっ!射精しちゃいそうよ……!」

 出して、中に、お腹の中にたっぷり出して、と懇願したかったが喉が塞がれていてそれも出来ない。代わりに喉の筋肉をぎゅっと締めて、唇をすぼめる。

「ん゛ひぃっ!?れ、ぃむ、だめ、締めひゃら、しめちゃらめぇえんっ!抜けない、ちんぽぬけない!抜いたら射精してしまうわっ!でひゃ、でひゃうう゛う!」

 そこまで勢い良く腰を使って私の喉筒を使っていたというのに突然ぴたりとその動きが止まる。喉の中で肉棒が痙攣していた。根本がぐぐっと一層太さを増し、そして見上げた紫はと言えば涎を垂らしそうな程だらしなく口を半開きにして、鼻の穴を大きく膨らせながら。

「だめ、おなかじゃない、射精するのはお腹じゃないのぉぉぉぉお!」

 そう言って紫は意を決したように私の頭を掴んで一気に喉から長魔羅を引き抜いた。

「ぐ、ご、ぼっ、がぶ!ん、んん゛ん゛んんぶぇっ!ぐげえええええええ゛ええ゛え!」
「んひ!とれ、とれひゃうぅ!わらしの牝チンポ、霊夢の喉マンコにくいちぎりゃれ、ひいいい゛い゛ぁああ゛あ゛あ゛ぁ、ぁ!」
「え゛え゛ええぇぇぇ……ぉ、んぉお゛ぇあ……」
「でりゅ、しゃせーすぅるん!しゃせいしちゃうわ゛あ゛!れいむの、れいむのいんら゛んっ!ほんろにおちんちん食べったべひゃうなんひぇえ゛え……せーしすわれひゃう、淫乱喉マンコにせーしぶちまけちゃうぅぅぅううぅう゛う゛……」

 ぐぼっ、とまるで人間の体から鳴るとは思えないような音を立てて、紫のペニスが私の喉から引き抜かれた。紫は唇を噛み締めて射精を堪え、その先端を私の顔の前に向ける。仮首の下辺りを自分で握りつぶすようにして、噴き出すのを抑えている。

「ぅ、おあ、顔にらすの……?」

 紫は何も言わぬまま、ペニスを握っていない方の手で私の前髪を乱暴に掴む。鈴口が近い。近いというか、むしろ……

「出すのは、れいむの、は、な」
「は、はにゃ?」

 私が声を上げた次の瞬間、紫は鈴口を私の鼻の穴に宛がったまま握り締めていた手を緩める。

「~~!!」

 導線を開口された紫のペニスは、我慢し、堰き止められていたその全てを一気に吐き出した。私の鼻の穴めがけて。

「んんぐごおおおおお!?ぐ、ずび、んぎいいいいい?!」

 ペニスを掴む必要がなくなった手は私の頭を掴み、両の手でしっかりと固定された頭では紫の射精から逃れる術などない。大量の精液を鼻の穴から注ぎ込まれる。

「っは……う、射精、気持ちいい……霊夢に鼻出し、しちゃってる……」

 うっとりと声を上げる紫に対し、私は精液で溺れかけていた。鼻から注がれることで鼻で呼吸できず、口呼吸をしよとするが鼻から大量に流れてくる精液のせいで呼吸しようとすると精液でむせてしまう。

「ぐげえぁ……げほっ!げぶぉほおおぁっ!や゛め゛、で……ゅがり゛、ぐるじ……げぼっ!!」

 紫の射精の勢いは想像を絶するもので、鼻から注がれた白濁液は素直に鼻腔を通って食道へ流れるに留まらなかった。もう片方の鼻の穴から逆流し、気管へ漏れ、口から溢れ出る。咽て咳をするために口や鼻から漏れる精液を汚らしく撒き散らし、酷いもので目の端から涙に混じってさえ精液が漏れ出てきていた。鼓膜内の気圧が狂い、耳鳴りが響く。息が出来ない。でも

(紫のザーメンに、頭の中浸かっちゃってる……のーみそがせーしに沈んじゃったみたいだよう……♥)

 口の中に広がる精液の味、鼻粘膜から強制的に沁み込む匂い、涙に混じって溢れた故瞬きのたびに視界に広がる白濁。撒き散らされているもの。気管に流れ込んで行くもの、胃へ注がれるもの。首から上の感覚全てに精液の存在が介在する感覚。精液だけ溜め込んだバケツに頭を突っ込んで窒息する感じはさもありなん。文字通り紫の精液に、私は溺れていた。

「らべ……げ、が、ん゛ぼぉお゛っ♥ぶががっ……じぬ゛、しんぢゃう゛っ~~♥」
「まだ、まだいっぱい出るわよっ!ボッキ汁、もうとまんないんだからあっ♥」

 紫も恍惚の声をあげ、その表情も蕩けきっているが、私の惨状ほどじゃない。
 脳みそまで精液付けにされた錯覚をしつこく刷り込まれて、私の中から息苦しさはさほどの問題ではなくなり、鼻の奥に射精される度にまるで至急の奥まで届く勢いで精液を流し込まれているような快感と、額にクリトリスが生えてそれを指で弾かれ続けているような電撃が走り抜ける。
 紫が少し私の頭から手を離したと思うと、それは自らの竿を扱くためだった。そうして一扱きする度、まるでそれが射精の開始であるかのように大量に噴精する。

「おぼおおっ♥あががっ!ぶっぶぶぶぶぶへええぁ……はにゃ、はなまんこ、はにゃまんこに中出しっ♥鼻マンコになからししゃれへ、ほおぉ゛おおほ゛おお゛おぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!ふごおぉおぉぉおぉぉ……」
「いい、いいわっ、霊夢の可愛い顔を台無しにするの、たまらないっ♪小さくて綺麗な鼻の穴に、無理やりちんこ押し当てて、霊夢を台無しに、べとべとのだいなしにするのお゛おお゛っ!!」

 勿論亀頭どころか先端だって鼻の穴に入りはしない。だが、それにも関わらずぐりぐりと鼻を押し上げるようにその先っちょを押し当てながら射精を継続する紫。私の鼻はすっかり歪んで、まるで豚面。挙句にザーメン塗れ。そんな状況でも私の絶頂は止まない。

「ずるっ!じゅちゅ゛つり゛ゅる゛うる゛るう!ぐご……ん、ぶっ!ずるずるずるずるっ!」
「あ、あっ、れ、れいむ、ばきゅーむ、鼻マンコでバキュームなんへ、しゅ、しゅご、おぉおおおっ♪」
「んぐっ、こく、こくん、ぶべあ……ゆかりのふたなりザーメンっ♥ざーめん、ゎらしの鼻マンコにもっろちょおらいいぃいっ♥せーし、せーし、せーしせーしせーしーぃいぃ♪」
「だすわ、もっと、もっろ鼻ズリ射精しゅるっ♪どばどば霊夢の鼻にらしゅっ♪しゃせい、しゃせい、はなまんこしゃせいっ♥」
「ふごおごおおおおおぉおぅおっ♪んぶ、ぶぶべぁあっん♥ぶぼごぃ゛ぉぉぉ゛ぉお……♥」
「せーしとまんない、しゃせいとまんなくなっひゃ……♪霊夢の鼻でばきゅーむしゃれて、めすちんぽ射精とまんにゃいのおおっ♪でりゅ、れりゅれりゅううううん♥」

 精液に溺れ、脳みそを精液漬けにされ、私は絶頂していた。頭の中、後頭部の少し下辺りに精液が変成した液状の快楽がたぷたぷと溜まっている。体の髄柱が歓喜に震えて絶頂に生まれる電撃を抵抗値ゼロで体中に伝播する。
 大量に吐精して、私が連続でアクメを迎えてから、ようやく紫は腰を引いた。ぼたぼたっ、と塞がれていた鼻から白く濁ったゲル状の精液が溢れ出た。

「んご……が、げほっ!げほっ♥……ヒュッ、ぜろぜろ、じゅる、しゅご、ひぃ♥」

 失神直前で空気にありつけた。視界はまだ真っ白だ。鼻から外れた後もたっぷり顔射してくれたらしい。髪の毛はどろどろ、頭を上げている限り上から幾らでも精子が垂れてきた。
 胃の中に逃れてきた分だけで、お腹の中がたぷんたぷん響くくらいに射精し続けて、紫のそれはようやくおさまった。私と彼女は、どさり、と床に崩れ落ち倒れる。

「霊夢に鼻出し、しちゃった……霊夢の顔、私のせーしまみれ。ザーメンパック……♥」
「んぶ、んご、ぁぁ……のーみそいっひゃってりゅ……ぅ♪」

 先に落ち着きを見せた紫が、私の顔の精子を手で拭って私の眼を覗き込んでくる。

「霊夢、ザーメン塗れ♪」

 悪戯っぽく、でも優しく笑っている。

「……った」
「え?」
「すご、かった……わたしン中全部紫のザー汁で満たされたみたいで、けほっ」

 すっかり堪能した私は紫の胸に飛び込んでオーガズムの後の余韻を楽しむ。
 
「ごめんなさい、霊夢。苦しかったわよね。でも、でもあなたがあんなに可愛い顔で喘ぐから、それを私のものにしてしまいたくなったのよ。あなたが悪いんだわ。」

 そう言いながら頬ずりしてくる。エッチの時だけは私のことを猫か何かだとでも思ってるんじゃないんだろうか。まあ、立ち位置がネコであることに間違いはないのだけれど。
 紫はしかし、性器同士による性交を望まなかった。それが私には少しばかり物足りなくもあり、同時に、彼女の優しさなのだと思うと、身につまされる思いに苛まれた。
 流石に疲れが出て一緒に横になったまま、気だるさに負けて動く気になれなかった。性欲に少しだけ解放されていた紫の妖質は鎮まり、それによって発現していた妖怪の部位もすっかり人間のそれに戻っていた。
 一箇所を除いて。

「まだおさまらないのぉ?」
「だって、エッチなことしてるときの霊夢、可愛いんだもの」
「それってエンドレスじゃない」
「出来ればそうしたいわね。このまま霧雨のことなんて忘れさせてしまいたい」

 忘れていた。というのは言い過ぎだが。
 でもそれは、紫にしては随分と。

「無粋」
「えっ」
「セックスの後に他の女のこと」
「……そうね」

 紫の手が私の髪を梳いている。勿論精液まみれなのだが。
 昔はよくこんな時間を繰り返していた。私は本気で彼女のことが好きだったし、その言葉を信じるならば彼女もまた私を好いていてくれて。そしてそれを壊したのは他でもない私自身だったのだろう。
 結局私は、私という存在を自分自身で認めることができていなかったのだ。博麗だったり、人間だったり、ただの容れ物だったり、世界のシステムだったり、そういう『誰かから押し付けられた私』を『唯一の私』だと錯覚して、本当の『私』を確立できていなくて。
 私が確立されていないから、他の誰かとの関係もあやふやで。くっだらない悩みに振り回されて、自分で整理する方法さえ見つけられなかった。
 でも今は違う。
 今なら、紫とも、魔理沙とも、真っ直ぐ向き合える。『人間だけ』でも、『ただのシステム』でもない、『博麗霊夢』として。
 紫とこれほどに激しく交わってなお、魔理沙と比べようとしている私は、卑怯者かも知れない。
 誰かと比べている内は、なんて使い古された言葉は、しかし私の中では何の哲学ももたらしてはくれなかった。

 人間か、システムか。
 それとも両方なのかどちらでもないのか。

「思春期には良くあることよ。少女である証拠だわ」

 紫が母性さえ感じる微笑みを湛えながら、私を慰めてくれた。私はマザコンの気でもあるのだろうか。母の顔も知らぬ私に、そんなものはないとは思うが、だからこそそれを求めているのかも知れなかった。
 結局わからないことはまた増えて、堂々巡り。そうやって悩みの火を少しずつ小さくしていくことが成長すると言うことなのだろうか。

「紫には、そう言うこと、無いの?」
「あったわよ、大昔に」
「そっか。紫はもう、少女の証を大昔に置き忘れてきていたのね」
「……れぇいぃむぅう?」

 紫が不機嫌な顔で私に迫るが、私は

 ちゅ

「っ!?」
「あんたばっかり可愛い可愛言って、ずるいわよ。」

 一気に距離を詰めて、キスをする。

「紫だって、凄く可愛いんだから」







 何日か後、私は鉛のように重い足を引きずって、魔理沙に謝った。小さな悶着があったが、概ね上手く仲直りできた。
 更にその何週間後かに、あやふやだった魔理沙との関係を納得いく形ではっきりさせる出来事も、不本意な形で、起こる。
 だが、それはそれぞれ、別の話。
 まあ気が向いたら紫にでも聞かせて嫉妬させてやろうと思う。
 あの何を考えているのかもわからず、恐ろしいほど強大な力を持った妖怪が、私の言葉一つで表情をころころ変えるのは、腹を抱えて笑うほどに愉快だし

 それ以上に愛おしいのだ。

 紫は。間違いない、私もだ。
 二人とも、少女病に罹っているんだ。

この記事へのコメント

Re: 【東方ネチョ/紫_霊夢】Two in One

よみました

おもいろいっす

Re: 【東方ネチョ/紫_霊夢】Two in One

おわわ!
ありがとうございます!

次作もちまちま書いてますので
お暇でしたらおつきあいくださいませ。

Re: 【東方ネチョ/紫_霊夢】Two in One

わお

お返事ありがとうございます!

どんどん読みますよ~!!

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