FC2ブログ
  1. 無料アクセス解析

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【天子_衣玖】幻想散華挿話_雨垂石と要石、天と天気の甘ったれ

自分のところにアーカイビングするの忘れてた。

20100516の崇敬祭でフリー配布したものです。

いつも通りです。
最近飽きられ気味ですかね。

一応幻想散華シリーズの挿話となります。

へたれだのギャグキャラとして書かれることが多い天子ですが
個人的には紫と張り合える実力者だと思ってます。
-----------------------------------------------------------------
 これほどまでに激しく押し流すのであれば、私の憂いもいっそ、持って行って欲しいとさえ思う。天界の閉塞感。総領娘様の暴れっぷり。頭が痛いと言うよりは、既に考えるだけで陰鬱としてしまう問題が山積している。そしていずれも私の意思ではどうすることも出来ず、ただただ、誰かが何とかしてくれるのを待つばかり。もう、こうして雨にさえ縋る状態だ。

 雨。
 それも豪雨。
 天の上にいる間は降りかかることのない冷たい雫も、しかし今は避けられない。やむまでゆっくりしていきなさいとは言われたが、会談自体が喧嘩別れに終わった以上、神社に長居する訳にもいかなかった。今は総領娘様と二人で木の下で宿っている。

「好い森ですね。木々が、懐に居る者達を護っているかのよう」
「護っている、ねえ。確かに。でも、土臭いのよね」
「まあ、たしかに。天界には地上で言うところの土と同じなんてものはありませんからね。」

 名居様に言いつけられ、私に引っ張り出され、挙句地上の神社の巫女にああもつっけんどんにされて、総領娘様も流石に虫の居所が悪い様子……の言葉をゆっている割には。

「あめが、泣いているわ」
「どちらですか?」
「両方。」

 木の幹に置いた手を、上下に動かす。指先で、掌で、表面を撫で、樹皮の割れ目をなぞり、ウロに触れ、その感触を確かめているようだ。

「今の天界は、腐ってる。」
「ですが、平和です。」
「そうね、平和だわ。平和は停滞をつくる。停滞は澱を呼び、澱は腐敗を招く。でも、それだけかしら。今の天界にある澱は、平和にバンドルされたものかしら」
「総領娘様。それは」
「空気読み過ぎよ、衣玖。ならば腐敗を進める?」
「平和を享受します。」
「ふん……」

 面白くない、と言いたげに、木の皮を小さく一枚剥ぎ取って手元で裏返す。小さな虫が一匹、蠢いていた。苦々しい表情を浮かべる総領娘様だが、それが虫を見てのことではないことは、いつもの行動からわかる。

「いつまでも、この木があると思うな。その泥濘に安住しては変化に耐えられないというのに。」

 その樹皮をウロの中に放り込み、今度は空を見上げている。

「いやなモノから逃げてきたこの場所を守ってくれる木は、雨を宿るには丁度いい。天と地を分かつ境界ね。同時に結界のようなものでもあるわ。まるで、ここを外と区切っている境目とも同じ。忘れ去られる程度のモノ達が、危機感無く生きていける。博麗にどの程度の自覚があるのかしら」

 総領娘様は一体なにを考えているのか。天界の誰もがその考えを予測できず、彼女のやることに翻弄され、しかしその地位故に強く諫めることも出来ない。総領娘様が口にして下さらない限り、それはなにもわからない。

「何故このようなことをなさったのですか。結果は見えていたでしょうに」

 それでも聞かずにはいられない。
 今までは、後から振り返ってみれば「ははあ、これがしたかったのか」とわかることばかりしてきた総領娘様だが、今回は騒動が落ち着いた今でも何がしたかったのかわからない。
 確かに総領娘様の思惑は概ねその通りに進んでいるようだ。六十年に一度の大地震を発散させることなく要石で差し止めた。一部の者は地震なんて起こらなかったじゃないか、一部の者は地震は回避された、と喜んでいる。そして、だが、一部の力のある者が、約束された大災害に怒りを露わにしている。八雲紫、それに知恵を与えられた博麗の巫女。閻魔。名居さまに、ついでに言うと、私だ。
 そういった有力者の多くを含む者達から反目を得ることを予測できていながら、総領娘様は何故このような行動を取ったのか。大地震を止めたかったなどと言う浅はかな理由は、この方にはない。
 破天荒。いつも名居様を激昂させ、周りを驚かせ、私に心配をかける総領娘様に限って、そんな薄っぺらな理由は、許されない。許されないのだ。
 ならば、何だ。何が、こんな理解に苦しむ行動をとった。また何か裏があるのか。

「今大地震が起こったら、どうなると思う?」
「六十年に一度の惨事です。ですが、要石で止めてしまった以上、次の六十年後にはその七倍の惨事になります。大惨事です。」
「教科書どおりね。正しいわ。でもつまらない。衣玖は読むべき空気、読むべきではない空気を、間違っているわね」

 そう呟いて、総領娘様は宿っている木の幹に再び手をつく。土臭い、そう表現した木の表面をぱんぱんと叩き、しかし愛おしそうに見ている。

「私達はいつもあの雲の上にいるからね。雨なんかどうだっていい。」
「私は雲の中ですが」
「雲の中って雨に濡れるの?」
「まあ雨は降りませんね」

 じゃあ同じじゃない、と笑って続ける。

「この木が倒れたら、私達は雨に濡れてしまうわ。」
「そうですね。」
「私達はどうするべきか?」
「他の木に逃げます。それか、」
「それか?」
「木が倒れないように、する。」

 それが要石だと言うのか。
 腑に落ちない。ただのその場凌ぎ、しかも被害の拡大が約束されると言うのに。

「その樹が死んでいても構わないのです。雨さえ宿れるのであれば、腐り崩れて姿を失うまで利用させて貰いましょう」

 私の回答に満足行った様子の面持ちで、総領娘様は続けた。

「気付いている?地上のこと」
「……」

 私は答えない。
 赤い雲の宏観異常現象。それと地震の関連性。それを伝えて歩いている間に、否が応でも感じた。
 地上は、ヴェールのような混乱の中にある。静かに砂の土台が崩れるように、そのバランスを失いつつある。隠された暴力性が、牙を研いでいる。その原因が何かは分からない。ただ、強烈な空気が、それを物語っていたのだ。

「お父様は気付いていないのよ。他の多くの高官も。桃でぶよぶよ肥え太って、セックスばかりして、血も栄養もすっかり頭に行かなくなってる。下品な肉塊よ。」

 同意はするが言葉にはしない。
 総領娘様が私の沈黙をどう受取ったのかはわからない。ただ、ふっ、とよく見せる、あの嘲るような笑いを浮かべていた。

「今私が痛みを被るなら、いくら痛くたって構わないわ。敵を作っても、仲間が居なくなっても。たとえ私一人でも。」
「え?」

 急に折り返した話に、私は頓狂な声を上げてしまった。

「私は、雲の上でふんぞり返っているだけのお父様とは、違う。我々は俯瞰する者。俯瞰し地底からそれを揺るがす者。この雨を注ぎ、陽光をもたらし、夜と朝を運ぶ者。でも、役割を忘れては、天も地もないわ。」

 総領娘様は、木の傘から一歩踏み出す。そのまま、雨降りしきる空の下に身を晒していった。

「総領……」

 いつもの私なら、そんな行動をたしなめたかもしれない。ただ、今は、そういう気にならず、吐き出しそうになった言葉を飲み込んだ。そうしなければ、いけないような、そんな気がしたのだ。
 総領娘様は帽子を脱ぎ捨てて、降り注ぐ雨を受け止めるように天を仰いで両腕を広げる。大粒の雨が、その肌に髪に弾けて滴る。肩に首に腕に胸元に降りかかる飛沫。服が濡れて肌に張り付きもう靴の中まで濡れていた。

「天界の奴らは一度、浴びてみればいいのよ。雨を。とびっきりの、そう、ちょうどこんな雨。太陽の陽しか知らないから、ひっからびた思考しかできないの。こんなにも、気持ちがいいと言うのに。天人は、愚かだわ。本当に、愚か。ふふっ」

 からからと笑いながら、総領娘様は、飛沫を上げながらくるくると回って雨を楽しむかのよう。
 雨の飛沫を受けながら、総領娘様は、しかしその笑顔は太陽のよう。

 あなたも天に住まう者だと言うのに、どうして、どうしてかそんなに天を見上げる姿が美しい。

「そのように濡れては、この雨がやんだとき、虹も落ち着いて見れませんよ」
「虹は虹よ。でも今は雨。雨を楽しみましょう。天界にはない神秘の光景よ、上から水が降って来るだなんて?」

 空気がね、柔らかいの。そう言いながら、総領娘様は雨に打たれながらゆったりと笑っている。
 そしてくるり。その場で水に濡れた髪と服を翻し、飛沫をステップの共に従えて、ターン。端を掴んだスカートを前後に巻くように揺らしながら踵とつま先を揃えて止まる。そして、す、と右腕を、私の方へ伸ばしてきた。

「衣玖。あなたもいらっしゃいな。そんな木は要らないのよ。遮る傘なんて、境界なんて要らないのよ。雨も晴も、天も地も、それらを隔てる区切りなんて、ナンセンスだわ。あるがまま、お互いを感じればいいの。溶け合って一つになればいい。」
「ひとつ、に……」

 この人は、一体、何を、企んでいるんだ。
 何か恐ろしいことを考えているのではないか?
 あんな柔らかい笑顔を浮かべながら、その奥でなにを考えている?
 地震を利用して地上を滅ぼす気か?
 腐敗した天界を、どうするつもりだ?
 まさか『元に戻す』つもりなのか?

 私には想像もつかない。
 寒気がした。

 そして、それと同時に。はあ。おとなげない。同時に湧いたのは。
 おとなげないほど胸が躍る期待感。
 おとなげないほどわくわくする高揚感。
 あの方が企んでいる何かは、きっととても残酷なことで。きっととても恐ろしいことで。きっととても凄惨なことで。
 だからわくわくする。だからどきどきする。だから興奮して、昂ぶって、舞い上がってしまう。

 そうだ。
 私は、総領娘様と、一緒にいきたい。

「衣玖。いらっしゃい、こちらへ。」

 その言葉がとどめ。
 雨降りしきる中。私は。
 飛び出した。
 伸ばされた手は敢えて取らない。それを頬の横、肩の上に掠めて、総領娘様に向き合う。拳一つ分背が小さい総領娘様を見下ろす形になるが、だというのに私達の絡み合う視線は水平だった。

「来るの?」
「はい。」
「ずぶ濡れになるわよ?」
「もう遅いです。」

 ただのじゃじゃ馬だと思っていた人に、芯を持っていかれた。新しい回路を組み込まれて、それが恐ろしく私にと相性がいい。体中の血液が入れ替わったみたいに冴えわたっている。澄んでいる。研ぎ澄まされている。生まれて初めて。こんなに気分が昂ぶっているのは、生まれて初めてだ。
 地震は私の下にやってきた。総領娘様は私には要石など呉れはしなかった。赤い空、揺さぶられた大地。私の世界は、取り込まれていた。だが、嫌じゃない。全然嫌じゃない。この気持ちのいい雨に濡れるのは。

 私は、雨の中を、ともに濡れて進む道を、選ぶ。

「共犯者。私と、衣玖は、共犯者よ。次に降るのはこんなに綺麗な雨ではないかもしれないわ。赤い雨も、それはそれで綺麗なものではあるけれどね。」
「はい」
「ならば衣玖。私のことは名前で呼びなさい。主従なんて、要らないの。上と下をくっつけようと言う私の意志、体現するなれば。」
「天、子」

 こう呼ぶのは、何百年振りだ。目付役とは名ばかり。奔放すぎて誰の手にも負えず、友達さえ居なかった総領……天子の、友人兼姉役として出会ったそのころは。だが、それも天子の成人と共になくなった。れっきとした天人の皇族である天子と、その奉仕種族である私はそれを境に、きっぱりと総領娘と目付役に収まったのだ。でも。

「そう。もう一度はっきり。」
「天子。」
「でも敬語までは取らなくて良いわよ?」
「そうですか」
「なくても、ゆるすけど」
「そうですか」

 苦笑すると、天子もまたくすくす笑っている。
 と。ふわり、彼女の腕がするりと私を包んだ。

「てん……」
「もう一度、呼んで」
「てん、し」
「もう一度」
「天子」
「もう一度。」
「天子」
「もっと」
「天子っ」
「もっと、もっとよ」
「天子、天子、てんしっ!」

 呼んでいるうちに、何か奥からがこみ上げてきた。ぞくぞく、背筋に何かが走りぬける。嫌悪感はない。但し、気持ちのいいものでもない。鳥肌を立てて背中を走りぬけたものは、名前のない『欲求』。
 性欲ではない。庇護欲でもない。友愛でもない。愛情でもない。独占欲でもない。愛着でもない。子供が描いた絵のようだ。色の調和など考えていない。原色そのままで、かみ合わない。突拍子のない選択で、実体に沿っていない。なのに、それらのどれでもなく、だというのに、それら全ての色で、それら全ての欲求。とても歪な形でけばけばしい色使いなのに、その欲求は、すっぽり胸に入り込んできた。
 そうか、これは。元々私の中にあったもの。出会ったときに感じて、日に日に大きくなって、離別とともに水の中に沈めたもの。それが今、浮き上がってきた。いつの間にか、こんなにも大きくなっていたなんて。

「くすぐったいわ。すごく久し振りなんだもの、衣玖に名前で呼ばれるの」
「そう、ですね」

 雨に濡れ水浸しになっている互いの体が、天子に引き寄せられて密着する。水に濡れた衣は肌に張り付き、押し当てると互いの肌が密着しているかのよう。
 とく、とく。天子の薄い胸が刻んでいる。私のそれよりも、ほんの少しだけ早い。

「てんし」
「くすぐったいわ、あなたの声、耳をくすぐるの。衣玖に名前で呼ばれるの、堪らない」

 私を揺ぎ無く見つめる瞳に、捕まって逃げられない。その距離が、少しずつ、少しずつ近づく。雨で肌に髪が張り付いた天子が、綺麗で、私を射抜いた視線が私を串刺しにしたまま、動けない、動けない。ただ心臓だけが、加速していく。
 滴る雨粒が、天子の肌を滑るだけで輝く宝石になる。髪の先に、頬に、睫の上に、唇に、乗った雫が煌いて。光が乱反射してきらきらと華やぐ姿。
 近づいて、近づいて、眉毛の一本までが見えたところで、瞼を閉じた。そして、触れる唇。雨に冷えた肌なのに、直接触れたそこだけが、甘く甘く熱い。熱く溶ける飴みたいに、くっついて離れては糸を引く。

「衣玖は綺麗ね」

 あなたの方が、綺麗だ。
 なんとなくその言葉を返すのが無粋に思えて、飲み込んでしまう。言葉よりも、唇で、返す。
 唇で唇を挟んで舌で舐める。前歯の綺麗に並んだ様を、舌先で確かめながら、同じように犬歯の先端を愛撫される。
 鼻を通る息が、少し、荒くなる。

 思わず抱きしめたくて背中に回した手を、でも締められないまま浮かせてしまっていた。本当に、そうしてしまっていいのか。躊躇いが拭い切れない。その様子を察した天子が、その手を掴んで自らの腰周りへ導いてくれる。はっと目を開け彼女の顔を見るが、天子は目を閉じて私の唇を食んでいる。まるで私の驚きなんて気にしないと訴えるように、キスが、激しくなった。目を閉じ、小さく顎を動かして私に口付けてくる天子。舌が、歯を抜けて奥へ、奥へと侵入し、口の中を舐めまわしている。
 腕が、背中から、首の後ろへ組み変わった。私も、彼女の腰を、引き寄せる。天子の鼻から、んっ、と小さく声が抜け、切なそうに眉をひそめて私の口を吸う天子。まるで甘美な果物のように薫る。







「っ、天子……」
「ぅん?きゃっ!?」

 押し倒そうとした。私は、天子を。
 だが咄嗟にバランスを取った天子は後ずさり、そのまま後ろの木の幹に背中をもたれる。それでもバランスの悪い足下に任せて、私は天子を木に押しつけたまま、より強く唇を押しつける。抱いていた腕は両肩を押さえつけ、バランスをとろうとする脚に自分の脚を割り入れる。

「い、くっ」
「ん、ちゅうっ」

 濡れた体を強く強く、天子に押しつける。水を含んだ衣服はもう一枚の皮膚のように体に貼り付き、それ故に互いを隔てない。

「んっ……ぁむ」

 強引な私の行為に、しかし天子は肩の力を抜いて応える。股の間に押し込んだ太腿に抗わず、背中の木に体重を預けて腰を前に出した姿勢のまま下半身を弛緩させた。太腿を閉じようともせず、否、むしろ開いたまま私の食らい付くような接吻を受け止めている。

「ちゅ、んむ、はぁっ……ちゅうっ」

 抵抗の意思が見えないのを見て私は天子の肩から力を抜き、手を木の幹へずらす。自由になった彼女は手を、再び私の首に回してその後ろで組む。私を、引き寄せる。
 キスを続けなさい、そう言うように。
 私は口付けを続けながら、塗れて天子の顔に貼り付く髪に指を通してそれを剥いでゆく。濡れて束になったそれを剥いてその輪郭を露わにしていくのは、まるで彼女を裸にしていく行為のようで。

「んっ、ちゅ、天子、綺麗」

 私の言葉に少しだけ笑って、また首を寄せられた。小さく口を開けて、舌先を見せている天子。鼻先が当たらぬように少し顔を傾け今度は口を開けて、唇ではなく舌でキス。彼女がそうするように私も舌先を出して、天子の舌に私のそれを触れる。
 さらさらした唾液の膜に包まれた、柔らかくて暖かい感触。私の開いた口は徐々に大きく、それに応えるように天子のそれも花開き、舌だけを伸ばしてお互いのそれを突き出し、絡め合う。唇は触れない。今や大きく口を開いて舌だけを上下に左右に擦り付けて、互いに柔肉を愛撫し合った。
 思い切り開いた顎、その唇に、唾液を止める機能はない。舌を絡め合う内にそれはとろとろと零れ、顎から首、鎖骨のラインへと流れてゆく。既に雨で濡れそぼった中にあっても、唾液の滑りは異彩。水飴みたいに甘ったるく、とろり筋を残して流れてゆく。時折口の中にたまるそれを舌で掬って天子の舌にこぼすと、彼女は舌でそれを受け取って口の中へ運ぶ。
 私は少し背伸びをして、完全に見下ろす高さへ。上から口に溜まった唾液をとろとろ注いであげると、大きく開けた口を上向きにして、舌を突き出してそれを迎えてくれた。わざとずらしてそれを額や鼻先に受けては淫蕩に笑ったりもする。そんな艶っぽい彼女の表情を見ていると、再び口を寄せてそれを貪りたくなってしまう。
 伸ばしている舌を唇で挟み、引っ張る。鼻から抜ける声は切なく淫ら。舌を引っ張られるままに唾液をこぼして、細く開いて潤んだ目で私を見上げてくる天子。そしてまた、くちづけへ。斜めに合わせた口の中で舌が乱れる。唇は溶接されたみたいに離れない。私の口の中も彼女の口の中も彼女の唾も私の唾も私の息も彼女の息もなく溶け合い二人の境界さえ、煩わしい。
 と、天子が私の胸に手を突いて、少し離す。

「衣玖、激しいなあ」
「ご、ごめんなさい」
「ふふ、その方が、好き」

 はにかむみたいな笑顔でゆったり笑うが、顔中が唾液まみれで頬が染まっているその様が表情と乖離していて酷く淫靡だった。
 たん、と木の幹を突いて体を私の方へ預ける。左手を私の肩に当てて、体重を私に投げてきた。私がそれを受け止めて支えてやると彼女は自分の足で立って私を見上げてくる。彼女の瞳に自分の視線が釘付けになりそこから動けない。背伸びをした彼女の顔がだんだん近づいて、再び唇が重なった。また息も詰まるような、心地のよい窒息感を味わうと思っていた私は、しかし裏切られる。軽く触れた唇はすぐに離れて、でも。

「ひゃっ!?」
「衣玖のこれ、おっきくなってるね」

 天子が私の股間をまさぐっている。突然だが当然の行為。それに私が目を白黒させている内に、彼女の笑いは可愛いものから艶を帯びた女性のそれに変わっていた。スカートの上から、ゆっくりと。勃起した私のそれを上下に指を軽くかぶせるようにして刺激してくる。彼女の視線は、私を見たまま全くぶれていない。まっすぐに私を見て、それは虫ピンのように私を射抜いて私の身動きを止める。

「衣玖、かわいい」

 包み込むみたいに私のペニスを触る天子。しごくというほどじゃない。愛撫と言うより挑発。こんなに大きくしてるの、私はわかっているのよと知らしめるみたいに。
 すとんと、再び樹にもたれる天子。私のものをさわっていた手を離し、自らのスカートをたくし上げる。もう片方の手で、窮屈に引き延ばされたぱんつに指を通してそれをおろすと、天子のペニスも大きく天を指していた。

「私のも」

 ごく。生唾が、喉を下った。天子のペニスから目が離せない。彼女の顔を見ると流石に恥ずかしそうに顔を伏せていたが、その様子が余計に可愛らしい。少し反り返るくらいに勃起した天子の肉棒に視線を注いだまま、私は一歩彼女に体を寄せ、膝を突いた。

「……シて、くれるの?」
「させて、下さい」

 天子が股を更に大きく開き、私に陰部を見せつけるように少し前にせり出す。
 私はそのさきっちょに、ちゅ、と口付けた。

「うン」

 可愛らしい天子の声。その声に拒絶や苦痛の色がないのを見ると、今度は舌を出してそれを嘗めた。裏筋の這ったラインをせり上り、亀頭との接合部分を舌の先でほじるようにしながら裏から側面、側面から亀頭の上部へ進み、ここに唾液をたっぷり落とす。

「い、いくの、フェラ、やらし……っ」
「だって天子のがすごく、おいしそうに反ってるから」

 亀頭を口に含んで、舌で全体を嘗め回すと、また可愛い声があがって彼女の腰が跳ねる。その反応が嬉しくて、抱きつくように彼女の男根を貪った。
 
「んむ……」
「あ、んんっ、衣玖ぅ」

 天子の手が、私の髪を撫でる。それが、すごく気持ちいい。そうだ。天子は違う。奉仕種族の私を扱うその手も、こうして私を同じ立場にまで引き上げようとする意識も。今まで私を抱いたどの天人も、頭を撫でられるのが気持ちいいだなんて、想像だにしてなかっただろう。
 天子が、愛しい。彼女のペニスへ奉仕する意識も大きく変わるというものだった。
 射精させればいいと言うものじゃない。私が天子のおちんちんに奉仕したいと思うのと同じように、天子が射精したいと思えるように。私が天子の精子が欲しいのと同じように、天子が私の奉仕を受けたいと思えるように。

「んむ……ちゅう、ん、ぇろ」
「いく、きもち、い」

 開かれている彼女の脚がより大きく開き、腰が前へ前へ突き出されてくる。求められて、いる。天子が素直に性感を表示してくる様子に、私は嬉しくなって、もっともっとそうして上げたくなる。
 口を大きく開けてペニスを深くまで飲み込み、唇を窄めて引き抜く。そしてまた飲み込む。喉と唇を使って、肉棒をしごき上げる、でも唾液と舌でちゃんと優しく。フェラチオで恋心を伝えるつもりで、なんて言うとクサい表現だけれど、でも、そんな感じだ。

「衣玖、っはぁ、きもちい、衣玖のおクチ、気持ちいいわっ!衣玖の奉仕、きもちくて、私、夢中になっちゃう。こうやって衣玖にご奉仕させるの、癖になっちゃうよぉ!」

 天子の腰が、私の口淫に併せて前後に揺れ始める。太股の内側がぴくぴく震えて、砕けそうな腰を必死に支えているようだった。
 可愛い。
 快感に耐えながら、でもそれを受け止めている天子のえっちな姿。顔。荒い息づかい。全てが可愛くて、全てが、私の淫心を燃え上がらせてゆく。
 鈴口の穴へ舌を這わせると、先走りがとく、とく、と溢れてきていた。その滑りに任せて、鈴口をほじくる。

「んあ!い、衣玖、さきっちょほじっちゃだめ、舌、したぁ……んひ」

 天子の声が、段々上擦ってくる。近いの、かな。
 私はいったんフェラをやめて、天子の腰をぐいと抱き、木によりかかって立っていたのを地面に座らせる。直接座らせるわけにはいかないから、私の羽衣を下に敷いた。
 M字に開いた足の真ん中で、ぬらぬら濡れた雄蘂。天子の視線が、私に向いていた。はやく、とせがむような視線に応えて「天子のえっち」と呟いてやると、顔を真っ赤にして背けた。

「イきそうになったら、ゆって下さいね」

 そう一言添えて、再びフェラチオを開始する。
 ずぶずぶとペニスを飲み込むと、鼻の先に陰毛がちりちり当たる。汚い感じが、すごくいい。私はわざと天子のチン毛を鼻で撫でるみたいに、肉竿を深く飲み込んだまま、舌を絡ませて頭を動かし、天子へ奉仕を続ける。
 亀頭の縁を舌でなぞり、先から漏れるカウパーを吸う。深く飲み込んで、それを本当に飲み込むみたいに喉で包んで絞める。そのまま、ずる、と引き抜いて、今度は濡れた唇を窄ませたままそれをペニスで割るみたいにぬぷぬぷと口へ導く。

「あ、んふぅっ!衣玖、衣玖ぅ!」

 すっかり私のフェラに酔ってくれている天子。たまに腰を浮かせて私の口まんこを突き上げてくる。

「イきそうです?」
「ち、ちが、ううん、違わない、もう、根本のとこまで、せーしのぼってきてる!」

 切ない顔で、淫らな告白をする天子。ならばと再び肉棒に口を付けよう……としたところを、制止された。

「天子?」

 もじもじと。私のフェラを拒んだ彼女は。

「衣玖も、きもちよく」

 ずい、と前に出てきて手を伸ばし、私の股間で我慢しっぱなしの物を触る。

「んっ」
「こっちで、しよ?」

 熱い息を吐きながら、天子は私の物をねだってきた。

「どう、しましょう……」

 とはいってもお互いのペニスを刺激しあうにはどうすればいいだろう。シックスナインか?だがここで横になるのは無理がある。
 私がどうしようか行動に移しあぐねていると、天子は私をぐいと強く引き寄せた。股間同士が、当たる。勃起したペニスのの先が、スカートの布地越しに、彼女のそれに、当たる。

「これ」
「……うん」

 天子の意図するところに、私の期待が走り出した。スカートを乱暴に託し上げて、慌てたみたいにぱんつをずり下げる。
 剥き出しになった私のペニスは、天子のそれと同じように先走りの汁をたらたらと流して泣いていた。

「てん、し」
「うん。頂戴、衣玖のおちんちん」

 腰を、落とす。

「ふぁ!」
「ぁっ」

 天子のペニスの裏筋を、私のペニスの先端がなぞった。先走りと唾液が潤滑油になって、その刺激は甘くとろけるような。

「衣玖の、おちんちん、きた、ぁ」

 ゆらゆら腰を動かして、私のそれを誘うみたいに。天子は自分の陰茎を掴んで私のそれとの擦れ具合を調整していた。私も、同じようにペニスを掴んで、上にそろうとするそれを前へならわせる。

「天子、さきっちょ、を」
「ん。こすりっこ、しよ」

 腰を前に出すと、一緒に腰を出してきた天子のペニスと私のその先端が出会った。鈴口が触れ合い、亀頭が擦れて雁首が引っかかる。

「ん!うっ、あひ、おち、んちんん!衣玖のおちんちんと、私のおちんちん、キスしてるぅ!」
「てんしぃっ!もっと、もっとおちんちんキッスぅ!もっとしてぇ!」

 ペニスから沸き上がる性感はすさまじく、一瞬で理性が吹き飛んだ。腰を前後に振りながら、ペニス同士をひっかけて擦り付け合い、その快感を貪り合う。先走りは噴くみたいに溢れ互いの陰茎を濡らし、その滑りが更に快感を呼ぶ媚薬みたいに肉棒摩擦を誘う。

「ん、ふぉおぁぁ!ちんこ、ちんこいいっ!」
「さきっぽ、こすれて!さお、ずりずりして、気持ちいいよお!カウパーぬるぬるしてて、もっとでちゃうううう!」

 腰を振ってた互いのペニスを擦り付けている内に、手と手が、互いのマラと手が、触れあう。私は少し腰を止めて、タイミングを合わせて、そして。

「んひゃああぁぁああ!?」
「んうっ!す、ごおっ!」

 天子が腰を出してきた瞬間を見計らって、天子のペニスと自分のペニスをまとめて掴んだのだ。
 ペニス同士が強く押しつけられて、少し動くだけでも破裂しそうな快感が溢れる。

「衣玖、それ、やばいよ」

 私の手を包むみたいに、天子の手がそれに混じる。片手は自重を支えるのに使っている私だが、天子の手は両方が自由で、だから全体をすっぽり覆うことができた。

「う、動いても、いいですか?」
「うん。いっぱい、おちんちんせっくす……しよ?」

 天子の声を皮切りに、私は暴れるという表現が似合うほど、激しく腰を振る。天子もそれに合わせて腰を突き上げて、互いのペニスを包む手は強く締めたり、ふわりと包むくらいに緩んだり、前後に揺らしたり、中指だけを締めて輪を作ったり。
 その手の中で、二人のペニスがぐちゅぐちゅ擦れ合う。溢れたカウパーはその手の中で留まって、その中をぬるぬるの淫らな袋に変えてゆく。

「ひい、ん!衣玖の手、きもちい……。おちんちんも、筋張ってるのがごつごつしてて、擦れると、たまんないよ」
「天子、や、ぁあっ!そんなきゅっきゅって絞めたら、すぐきちゃいますよお」

 お互いにエロ台詞をかぶせ合う。羞恥心を捨てて自分の快感を告白し、お互いの性感を導く、言葉のセックス。
 耳からはいる情報は、相手を気持ちよくする分析に使われながら、しかしその言葉自体が快感となって耳から神経を焼いてゆくのだ。
 そうして、私たちは、もっともっとと相手を求め、自分の快感を相手に分け与えながらそれを共有していく。ペニスの生み出す快感に酔いしれ乱れ、人から獣へ落ちてゆく。でも、愛だけ、変わらない。

「ひ、あ、ああああっ!いい、ちんここするの、いいよお!ぬめぬめちんこ、ぼっきちんこごしごしするの、最高なのおぉぉおぉお!」
「てぇ、手、きもちい!天子の手とちんこで、私のちんこが包まれちゃってる!カウパーまみれの雌チンポと手オナホで、ちんこ勃起止まんないぃぃぃいいぃいいいいい!」

 がつん、がつんといいそうなほど、腰をぶつけ合う。手を寄り添わせてできた疑似まんこ。手オナホ。カウパーの滑りで、快感増幅マシンとなったそれが、お互いのペニスを締め付けしごき上げる。

「は、ひ、わ、わたし、もう……っ!」

 天子がうかされたような声で、絶頂が近いことを知らせる。

「いい、ですよ!しゃせい、してくださいっ!ざーめん、だしてへえっ!」

 私は天子のペニスの雁首の出っ張ったところが通る瞬間だけ、きゅ、と指を絞め、人差し指を前に伸ばして鈴口から亀頭を長く摩擦するように配置する。

「い、衣玖ぅ!いくの手チン、いい、だめ、ほんとにもう、でちゃう!させーしちゃうよぉおおお!」

 天子の腰が、止まる。だが私は止めない。指の動きも止めないまま、ペニスでペニスをしごき続けると、それはまもなく決壊した。

「で、でりゅ、せーし、せーしでりゅううううううう!射精しちゃうっ、ひ、、い……あ、あぁぁあ……ああああああああぁぁ゛あああ゛あ゛ああああぁああ゛ぉ゛ぉおああっああおおおおああ゛ぁぁ゛ああ゛あ!!」

 びくん、びくんっ、と天子の腰が暴れて、手の中にびゅるびゅると精液が迸る。

「あ、ひん……手マンコに、せーし、なかだしぃ!あっついの、どっぷどぷそそがれて、私のおちんちんにもぬるぬるザーメンぶちまけられちゃってますううう!」

 天子の吐き出した精液が、私のそれを熱く濡らしてゆく。腰が止まらず動いていて、雄汁まみれの手オナホの中で今度は私のペニスが射精へと上り詰めようとしていた。

「は、はっ、はあっ!天子、わた、わたし、も、しゃせ、ザーメンでぬるぬるになったオナホ扱きで、ちんこばくはちゅしちゃうよおおお!!!」
「あ、や、あああっ、だめ、イったぁ、イったばかりの敏感チンポ、ザー汁ローションでしゅこしゅこされたら、また、またおっき、また勃起しちゃうう!」
「じゃ、じゃあ、ローション追加ぁっ!メスチンポミルクのどろどろローション、オナホの中に注、入しちゃいましゅうううううう!」

 ちかちかと視界が白く飛んで、腰が痙攣する。お尻の奥からペニスの先までずるりと通った管みたいな物の中を、液体の快感が通り抜ける。

「んひいいいいい゛いいいい゛ぃ゛ぃぃいぃいぃ゛いいいい゛ぉ゛おおおぉお゛お゛あ゛おあぁぁ!!」

 精液が、吹き出す。体全体がポンプになって、それを押し出す一体感と飛翔感。精子が抜けてその熱塊は、天子のペニスにぶちまけられる。

「や、やああああああ!ちんこに、ちんこにザーメンぶっかけ、おちんちん穴から精子はいってきちゃうよおお!てが、手の中がぁ、ざーめんでぐっちゅぐちゅぅ!手が妊娠しちゃうよお!」
「て、てんし、またおっきく」
「だ、だって、だってあんなに精液ぴゅっぴゅされて、おちんちんしこしこされたら、しょうがないでしょお!!ひ、ひいっ、また、またこしうごいちゃう!また勃起ペニス暴れちゃう!」
「いい、ですよ、また、射精して下さいぃぃいいい!ちんぽみるく掛け合いっこ、メスチンポ扱き合いっこ、いい、いいよおおお!!」
「ん゛ひ、れる、まひゃ、でりゅううう、さっきしゃせーしたばっかひなのい、まらせーしれりゅのおおおおお!!」
「お、おぉぁぁああああ、ひ、い……ぶっかけえ、ぴんぽぶっかけで、アクメループしひゃっへりゅうううぅぅう!いいっ、ぎもぢいいから、どうでもいひいいいぃぃぃいい!しゃせいきもちいいから、しゃせいすりゅのおおおお!!」
「こわりぇる、チンポンプこわれひぇ、ザーメンだだもれになっへりゅ!どんどんイき易くなっへ、いきっぱなひ、アクメしっぱなひになっちゃうぅぅぅううううう!!」
「また、またでる!射精口しまらなひいい!!締まりの悪いちんぽになっひゃう!しゅご、おおお゛おぉぉおぉぉぁぁぁっぁああああ!!」
「は、はあっ!くる、おっきいの、くるううっ!」
「わらひもほお、いちばんすごいの、きちゃう、きちゃう、きちゃううううう!」

『ぉ、あああああああああああああああああっ!!!!』







 天界へ帰る道すがら。
 淫汁で濡れたぱんつははかずに、二人とも下着の無いままだ。

「まずは、天界に、雨を降らせましょうか。肥え太った豚には、そろそろ舞台からお暇頂くわ。ええ、よくある話じゃない。ただの世代交代よ。赤い雨が降る、それだけの話だわ」
「そんなことはないんじゃないですか?」
「子が親を殺す。現支配者を下の者が打ち倒す。よくある話じゃない。」

 くすっ。
 私が笑ったのを、天子は少し不服そうに見ている。
 でも、私が手でひらつかせている物を見て、意図を汲んで下さったようだった。ははっ、と、笑い出す天子。

「だって、ノーパンでクーデタなんて、まず無いと思いますよ?」

この記事へのコメント

コメントをお寄せ下さい

(コメント編集・削除に必要)
(管理者にだけ表示を許可する)

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://monostation.blog112.fc2.com/tb.php/2097-1b24ed46

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。