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【東方SS】希望的観測と結論から導出され収束した一つの解、或いはただの幻想。

エントリ名2行になったら崩れるのね。



私の理想では、永遠亭付近は最終的にはこうなって欲しい。
主に「うどんげとてゐ」についての解答を求めている内にできあがったのがこれです。
珍しくエロじゃない。
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「世話になる」
「いいのよ、どうせ広すぎて持て余してるのだし、それに」

 永琳が視線を遣した先では、妹紅が自分ほどもあろうかと言う大きさの荷物を抱えて竹林の入り口を行ったり来たりしていた。その傍で、荷物は一つだって持たないのに、足繁く妹紅の横にくっついて一緒に行き来しているのは輝夜。互いに憎まれ口をたたきながら、時折笑っている。
 
「安っぽい家族ごっこかな」
「それでもいいでしょ。私はそれなりに楽しみにしてるのよ。安かろうが高かろうが、ね。」
「まあ、かく言う私もそうだ」

 永琳が、慧音の向かいから横へ。おもむろに、手を、手へ。指先が手の甲に触れると、掌が振り向いてそれを迎える。するすると指先同士が触れ合うと、今度は深く交わり、ふわり、握り合った。とん、と、永琳の頭が、慧音の肩に乗る。

「あの子達と私達、どっちが先かしら」
「我慢する自信はないな。……するつもりも、ない」

 慧音がその手を握り締めたまま、もう片方の手で永琳の肩を抱き寄せる。視線が一瞬絡み合ったが通りすぎて、唇同士が触れ合う。

「んっ」
「ん、ふ」

 軽くついばむだけの、キス。二度、三度、唇を食んでから離れて、視線を結んで笑いあう。
 
「もう、こんなところで。あの子達見てたわよ」
「見せ付けてやろう。元はといえば、あいつ等のせいだ」

 荷物を持ったまま永琳と慧音の接吻を見て固まりかけている妹紅の顔を掴んで、すました顔の輝夜は、視線をそれから引き剥がすように顔を横へ向けさせていた。
 夕方にもなれば、兎達も帰って来て、もっと賑やかになるわ。
 永琳は慧音の傍で囁く。

「兎か」
「可愛いわよ、彼女達も。姉妹みたいで。生まれた星さえ違うと言うのに、今はべったり。」
「妹紅達と、それに」
「私達も?」
「ああ」

 と、慧音が立ち上がり一歩前に出る。
 
「さ、妹紅ばかりに任せてもいられないな。ほとんど私の荷物なんだ。」
「あら、人任せなんて、ひどい。」
「じゃあ手伝ってくれ。私はもう、妹紅から、卒業しないといけないんだ。」
「で、私に手伝わせるのね」
「いやか?」

 永琳もすっと立ち上がり、慧音の横に並んでその横顔を見上げる。

「一人でやるなんて言ったら、逆にひっぱたくところだったわ。」

 慧音と永琳も、荷物を運んで荷解きを始める。永琳は慧音の横でそれを手伝い、荷物を渡すときに手が触れ合うだけで、ゆったりと笑いあう。一方の輝夜は妹紅にくっついて動いてはいるものの、やはり全く手伝う気がないようだった。

「良くも悪くも、この二人のおかげだな」
「ええ、そうね。良くも悪くも。」







「な、なあ、慧音が、さっき、お前ンとこの薬師と」
「ほら、下らないことはいいから、さっさと運びなさいよ」
「えっ、っちょ、お前、さっき見たろ、慧音と」
「何も見てないわよ」
「嘘つけよ」
「見てない。問うだけ野暮なものは、はなから見えないのよ。ほら、その荷物はこっち」

 へいへい、と納得行かぬ様子の妹紅。

「あんたのもの、本当に何もないのねえ。全部、白沢の荷物」
「私は家がなかったからな。」
「ふうん」

 どすん、と荷物を置いて次を取りに戻ろうというとき。

「きょ、今日からは、ここが、あなたの家よ。あなたが戻りたがっていた家と比べれば、ちっぽけかもしれないけれど、その……」
「戻りたがってた家なんて、ないさ。それに、別に家が欲しかったわけじゃない。」
「……そう」
「でも」

 すっ、と一歩、妹紅は輝夜に歩み寄る。

「それでも、お前と一緒にいれるのは、嬉しいよ」

 そのまま、輝夜の頬に指を遣る妹紅。その手を引くと、それに吸い付くみたいに輝夜の体が、妹紅の方へ倒れる。それを抱き止めた妹紅と、抱き寄せられた輝夜の瞳が合わせ鏡。近づいて近づいて、触れたのは、唇。
 輝夜を抱く妹紅の腕に力がこもり、それを返すように輝夜のそれも強く。

「ふっ……ん」
「かぐ、ゃ」

 唇が離れると、まだ舌同士が絡み合っていた。それも離れると今度は唾液の橋が繋がっていた。名残惜しさを振り切ってようやくそれも離れたが、まだ合わせ鏡は少しだってずれていない。

「永琳達に、あてられ、すぎ。昼間っから」
「ちゃんと見えてたんじゃないか」
「ばか」

 ばかで結構、と返す代わりに、もう一度キスをする妹紅。
 ばーか。と呟いてから、更にキスで追い討ちする輝夜。
 合わせ鏡が外れて離れても、今度は右手と左手が、繋がっていた。

「今からでも、家族ってものを知ることができるだろうか」
「ええ。教えてあげる。血のつながりなんていらないって位にね。そうそう、微笑ましい、可愛い姉妹がいるのよ、うちには。彼女達も、血のつながりはないわ。」
「血のつながった家族、か。」
「……欲しい?」

 輝夜は妹紅の手を包むように握る。

「えっ、いや、その」
「なーに赤くなってんのよ。品性下劣。」
「えっ、う、うるさい……」

 早とちりを笑われて、でも否定できない感情がもっと恥ずかしくて。妹紅は顔を真っ赤に染める。その様子を見た輝夜も、しかしまんざらではない様子で。

「私と妹紅に同じ血が流れていたら、こうはならなかった」
「うん?」

 と、輝夜は、にぃ、と口角をつり上げて。

「違う色の血が巻き上がった方が、綺麗でしょう?同じで映えない血雨なら、私達はこうはならなかった。違う?」
「ははっ!違いない。」

 妹紅が輝夜の肩を抱いてはっはと笑う。その腕の中で、輝夜もくすくす笑う。その声は、しばらく響き合っていた。







「ただいまー。をを!」
「お引越し、終わったんですね。済みません、手伝えなくて」

 二人連れ立って帰ってきた、鈴仙とてゐ。

「これから、よろしく」
「こちらこそ。」
「鈴仙、家事が増えて大変だねえ。」
「てゐも手伝うのよ」
「えっ」
「すぐ、お夕飯の準備をしますね。」

 いーやーあー、と声を上げながら鈴仙に引っ張られていくてゐ。
 永遠亭の台所は、無駄に広い。だと言うのに、たまに永琳が気が向いたときにだけ使用するほかは、殆ど鈴仙の独占状態。いつも鈴仙にくっついているてゐもまた、台所に遣ってくる数少ない人物だった。

「これから賑やかになるわね。」
「……あのさ」
「うん?」
「姫様、変わったよね」
「変わった」

 氷室の中を覗く鈴仙と、その隙間に顔を突っ込んで同じように氷室の中を覗くてゐ。鈴仙は食材を探してそれを見ているが、てゐは別に何かを探しての事ではない。単に、鈴仙の真似をしているだけだ。

「まさか一緒に住むことになるなんてね」
「ねー」

 鈴仙はたけのことふきを取り出して、台所へ置く。てゐはそれを見て、きょろ、きょろ、と氷室の中と鈴仙の手の中のものを見比べてから、にらを取り出そうとするが、鈴仙に「それはいらない」とゆわれたので仕方なく戻す。

「鈴仙はさ、いいの?」
「なにが?」
「永琳が」

 てゐの言葉に、一瞬、動きを止める鈴仙。だが、小さく息をついて、背丈の全然違うてゐに合わせるようにしゃがみこむ。

「その話は、もう終わってるわよ。てゐ。あなたが、助けてくれたんじゃない」

 鈴仙の手が、てゐの小さな頭を、撫でる。てゐはそれを上目で見ながら、頭を撫でられるたびに、くりくり大きな目を閉じて気持ちよさそうに、笑う。

「私は、鈴仙がいいなら、いいの。なんでも、どうでも、いい。鈴仙が、笑ってるなら。」
「ありがとう」

 ぽんぽん、とてゐの頭を撫でて、鈴仙は立ち上がる。その手を、てゐは掴んだまま離さなかった。

「鈴仙、まだ泣いてる」
「泣いてないわよ」
「泣いてるよ」
「泣いてない。ほら」

 目を見ろ、というふうに、顔をてゐの方へ出す鈴仙。
 てゐは鈴仙にかぶりつくように、抱きつく。ぎゅう、と、短い手が鈴仙の背中を掴んだ。
 
「鈴仙が悲しいと、私も悲しいもん。わかるもん。」
「てゐ」

 思い切り抱きついてくるてゐを、しかし鈴仙は抱き返すことが出来ない。確かに年上だ。それでも、それでもてゐはまだ、幼い。鈴仙は、あと数センチ手を引けばてゐの背中を抱けると言うところで、その数センチを引けずに浮かせたまま、それが出来ないでいた。
 暫くそのままで時が止まっていたが、突然、てゐがぴょん、と鈴仙の腕を抜ける。そのまま、振り返りもせずに台所を出て行ってしまった。
 一人残される鈴仙。もう誰の姿も見えないその入り口に向かって小さく呟く。

「ありがとう。ごめんね。てゐ」

 行き場のない言葉が何かを起こすはずもない。ふう、と溜息をついて、鈴仙はかまどに火を起こしにかかる。

 薪をくべ、即席点火用の符を取りに立ち上がったとき。

「て、てゐ?」

 台所の入り口にちょこんと、てゐが立っていた。

「てゐ、なあに、その恰好」

 てゐの服は、赤と青を基調にした、永琳の正装……のミニチュアだった。酷いもので、裁縫もよくわからないまま作ったのだろうそれは、縫い目が浮き、糸は解れ、左右の形も整っておらず、布ではなくて色画用紙を継接いでセロテープで貼り付けてる部分まである始末。前衛的な芸術と捉えるか、子供の図画工作と捉えるか、どちらかといったところだ。

「永琳」
「えっ」
『うどんげ、ごはんは、まだなの?』
「て、てゐ?」
『そんなんじゃ、かんじゃをしなせるわよ!』

 ははあ、とゆって、鈴仙は夕飯の準備を進める。

「はい、今すぐに作りますから、待ってて下さい、師匠」

 小さな師匠に向けて、しっかりと返事をして夕飯の支度を続ける鈴仙。先ほど取り出したたけのこを灰汁抜きしようと立ち上がったとき。鈴仙の脚に、小さな永琳が、抱きついた。

「私、代わりになるって、ゆったよ!鈴仙が永琳がいいってゆうなら、永琳の代わりになるって。鈴仙、それでいいってゆったよ!でも、鈴仙、まだ泣いてる。にせもの永琳じゃ、やっぱりだめなんじゃん!私、代わりになれてないじゃん!!」

 鈴仙の脚に絡んだまま、てゐは叫んでいる。声はしゃくれていて、時折鼻をすする音が聞える。

「て、ゐ……」
「私、鈴仙がすきだよ。だいすき。」

 抱いている鈴仙の脚に額を擦り付けるみたいにして、そうして痛みに堪えるかのようにしながら、吐き出す。

「私がいくらぎゅうってしても、鈴仙、ぎゅうって返してくれないじゃない!私が何度すきってゆっても、鈴仙はすきってゆってくれないじゃない!!」

 てゐのまっすぐな言葉に、鈴仙は身動きが取れない。
 鈴仙の目が見る見る潤んで飽和して、ぼろぼろぼろぼろ大粒の涙が流れた。
 その顔を引き寄せるように、てゐは鈴仙の手を引く。てゐの顔を見ることができない鈴仙は、視線を右に左に泳がせて俯く。その額に額をくっつけて、てゐは小さく、転がすみたいに言った。

「キス、しよ、鈴仙」
「えっ」
「鈴仙、私を子供扱いしてる。私、キスくらい、できるよ。」
「でも」
「永琳だと思っていいから。」

 赤い瞳同士が写し合う。

「やだ」
「……そっ、か。あ、あはは、ごめん!なんか変なこと言ってたね、わた」

 鈴仙に拒絶され、一歩退こうとしたてゐ。しかしその体が再び、ぐん、と鈴仙の方へ引き寄せられた。その流れのまま、てゐの唇が鈴仙に重なる。驚いてきょとんと見開かれたてゐの瞳と、唇の行方を確信して閉じられたままの瞼。やたらと長い一瞬の後、てゐが少しだけ、鼻と鼻ならまだくっつきそうなくらいに少しだけ、離れる。

「偽物の師匠じゃ、やだ。本物の師匠も、もう、いらない。」
「れい、せん?」

 現状を把握できていないてゐが狼狽えていると、今度は鈴仙の唇が、てゐのそれへ寄せられ重なる。

「ん……っ」
「ぅゅえぃ、ん、ひぇん」

 ふう、と息を吐いて離れる二人。今はあわさる二対の瞳とも、薄く開き、細く閉じられていた。

「師匠の話は、もう終わったって、ゆったでしょ」
「で、でも」

 それ、と、立ち上がる鈴仙の腕に、てゐの小さな体。

「我慢してたのに。てゐが大人になるの、待ってるつもりだったのに。」
「私はもう大人だよ!私の方が年上なんだから!」

 鈴仙の腕の中で、手足をばたばたするてゐ。そうだね。と、笑う鈴仙の目に涙はない。いつも通り、自分を見つめる赤い瞳が、近い。いつも距離をごまかされていたように、近く寄ろうとしても近づけなかった鈴仙のそれが、今は、本当に、近い。逆にどぎまぎするゐ。

「が、我慢しないで、ぎゅーしていいんだよ」
「あははっ」

 軽快に笑いながら、てゐを抱き寄せる鈴仙。胸と胸をくっつけて、背中に回した腕を力一杯結んで二人の間から二人ではないものを締め出すように。互いの鼓動が、違うリズムを刻みながら一つに溶ける。

「あ」
「うん?」
「ぎゅー……してくれた」

 もう我慢しないってゆったでしょ。そうゆっててゐのウェーブに手櫛を通す。優しい、笑顔。

「キス、もう一回する?」
「えっ、あ、あとで、いい!」

 顔を真っ赤に染めて、鈴仙の肩に手を突き押し出すようにその腕の中から抜け出すてゐ。鈴仙が、ぱ、と手を離すとてゐは、どさっ、っと落ちて尻餅をついた。その勢いを殺さないまま、ころころ転がるみたいに起きあがって、てゐと鈴仙は、向き合う。

「それに!まだ、ひとつのこってるよ!」
「あら、何かしら」
「鈴仙がわからないなら、私からゆってあげる。」

 腰に手を当てて、強がるみたいに鈴仙に口を開くてゐ。それと同じタイミングで、鈴仙もゆっくりと口を開いた。
 二人の口から紡がれた言葉は。

『だいすきだよ』

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