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産廃に投稿するSSには、毎度、意味なんてありません。
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◆夜

黒真珠は敷き詰められ、艶めく。流れる。赤く切り抜かれた心臓。
響く波は同心円楕円。濃厚、純白、波紋する墨染め。
映し出す鈍色の弧。走り、抉る、撫でる。弓で奏でる楽器は真白い手首。
黒真珠は流れる。ざらざらざら、ざら。押し流され行く心臓。吐き出される熱病。憂いと躍動。

「気持ちが良いの?」
「はい。とても気持ちが悪くて」
「私に呉れれば好いのに」
「此は私のものです。一も百も、全て私のもの。だからこうして貴女の前で浪費して見せるのです」

投げ出されたバイオリンから、流れ出したバーミリオン。
流れ、細り、獣の膝を染めると、戦慄と支配欲が赤を地底の大河になぞらえる。
ごうごうごう響く砂の地平に、汚濁のオアシス。染み入り沸き出、濁流の尾を巻く。
雨が降れば良いのにと首吊り坊主を横薙に断つと、けたけたけた笑ってぽとり落ちて泣いた。雨が降った。赤い真珠。

「貴女など怖くありません。何故欲しがるのですか?」
「欲しいからよ。他に何か理由が必要?」
「いいえ御尤も。後は理に適った口実と、心が必要ですね。」
「心なんて後から付いて来る。そうして何時迄も自分を焦らす心算?」
「焦れる。私がですか?」
「他に誰が?」
「憫れな狗の可哀想な飼主とか」
「御冗談?」
「未だ流し足りない御様子」

◆鉄格子

楼閣閉ざす閂。砂。雨に濡れて赤々塗れて。針の牢交わる。
純潔散らし、純白知らず。狗は繋がれ吠えることなく鳴く。
赤斑の白波を幼い獣。骸。乾いた赤と皮。這い寄る数多に悲鳴は甘美、満ちたり満ちたり満ちたり。
狗。泉を掘って喉は嗄れ、果ては押し出された無形内臓を見張って咽いだ双筋の愛撫。
矩形の夜割れる硝子。檻。既知の不能は一握の砂に流れた夢幻。澱。
薄い薄い虫の羽をぴりぴり。音、風。影。蒔くと、柔らかい芽が萌えて灰。
掻き鳴らす弦。染めろ染めろ砂の乾きを潤汚せ。調律乱れた響き。荊の戸は鳴る。

「おかわりは如何ですか?」
「結構よ。」
「では。身代わりは」
「迷うわ。でも結構。此でも人間の端くれ」
「本当に」
「ええ、本当に。貴女、違って?」
「気が確かなら」
「気が違ったか」
「水とくらぶれば。」
「大体、おかわりどころか一口もないの。貴女にそれが解って?」
「解りますとも。デザートなど望むべくもなく、でもそれ故に幸せ」
「どうして?」
「それ故にです。どうですか、懐の砂など噛んでみませんか」
「御免被るわ、と言いたいところだけど、砂次第。」
「甘美かと」
「私の口には?」
「口次第ですね。」
「それ見たことか。」

◆偽

零れる嬌声は金属質。柔らかなのは指先と夜。膝。引かれた紅。白が覗いたルビーを分けて、砂糖菓子の食紅は陰陽。間を流れる命。滴は混じって沸いた。
焼ける思いは酒精の滴り。乾きを潤さず、深く咲く花。吐息。
偽りの芯は泥濘へ埋没し、躍動、封印、絡み付いて空虚。
紫を想起する稲妻は五体へ。疾走伝導、抵抗。
絡み付く柔らかな世界。色を失わず、鮮やいで窮屈に。
果てへ果てる。極限を謳われた二つの点が不確かな力を宿して線へと積分される。
尾を巻いた疑問符は皮質に埋没して本質を問うた。
スケープゴートとはかくも可愛らしいか。すり替えられた傷は血の代わりの涙をで染まり、それが慰みになるものか。
ギンガムチェックの感情模様は肉と樹脂のいわばアモルファス。
四本の腕でそれを抱き寄せて、波に沈む。ずぶずぶずぶ。
墨汁の海に沈んだ感情は泡立ちながら炭酸化して。気化。霧消。消滅と無価値。
それでも高ぶってしまう悲しさは、声となり、震えとなり、熱となり、拡大したエントロピーは、凍り付いた時間に吐き出された。
閑話休題。

「どうしてなんでしょうね」
「答えが解るなら、水掻きなんて要らないわ。」
「水であればまだ」
「何だと謂うの?」
「世界か色……否、私でしょうか」
「水の様なものだわ」
「概ね。でも排他的論理和ですよね」
「そうね。油?」
「其れでは元も子も無いです。」
「なら温度計があればいいか知ら」

◆言葉

白いバイオリンは今夜も赤い音符をこぼす。
女王は愉悦の溜息を濃藍に落とし、波紋は星と月と静寂に響いて。

「何人目?」
「詮無きこと」

 翼絡まり鎖。茨が心臓を螺旋階段。折り重なる金属音に宵闇。暗幕を切り裂く。

「聞いているの」
「ならば奪って御覧じなさいませ。どちらとも付かぬ御心では、YもNもSもNも御座いません」
「口惜しい」

砂は甘美。だがお代わりは只一度まで。だが、それが答えだろうか。
そうであればヴァイオリンは音をやみ、然るに福音足り得るのでは。
迷い、葛藤、苔の蒸す。朝日と新生が、希望か、諦観か。
盲点上の間欠は埋葬され、完全を喧伝する。その間欠に足を捕らわれ、脈絡のない崩壊。しかも人知れず。

「いかようにして」
「思惟、そしていかばかりかの、想像」
「独善ですれ違うのをお望みか。私は煮えた鉄など好物ではありません故」
「ならば鉄格子の外に全てを見せたのか?全て、全て、ありとあらゆる残さず全てを。鉄格子の外でそれを受け取り、全てお前の言う通り、お前の考えるままか」
「それは……」

私がこそ、独善か。

「いや、私」
「……は」
「嫉妬だった。恋慕を剣、愚かか」

愚王よ。
淀みを吐き捨てる蛇。涙を模した言葉は、今はしかし本物か。
右手で届く久遠を下り、竜は人と言葉を交わす。一歩、しかし万里。

「言えば、我が物か?」
「今一度」










「咲夜、好きなの。美鈴と別れて、私のものになって」

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