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【霊夢 アリス 魔理沙】Tris-passion-ARM

本当はこのエントリの投稿時間表示の1年後がさす日時に投稿されたものです。
修正しました。

東方夜伽に投稿しました。

Tris-passion-ARM


最近作品が長大で難解であることが、読んでもらうことを阻害しているような気がしています。
もっとジャンクフードな文章を書くべきだとは思っていたのですが、
私が表現したいことを作品に落とし込むと
なんともあのような長くて分かりづらい文章になるようです。

昔は文章(言葉)を巧く扱えずにいたために
ちょうどその舌ったらずな文章がぎりぎりの読みやすさを維持できていたのだと思います。
最近はその、悪い意味でこなれてしまって
言葉自体をそれなりに意図通りに扱うようになれたこともあり
私の描きたい事を比較的満足に表現できるようになって来ました。
それに従い、難解になっていき、共感も得られないものへと変化していっているように思えます。

元々、私の表現したいことはこんな感じに伝わりづらいというか
ひねくれて届かない傾向にある。

このBlogの名前は、そういった意味でつけたもので
もう大学時代からずっと使っています。
その伝わりづらさを、正しく表現する技術が追いついてきてしまったのは
幸か不幸かというところです。


もう一つ言うのであれば
これは完全に私の落ち度ではあるのですけれど、
こうして私が表現したいところを十分に表現しようと思うと
ある程度以上(むしろ大多数の)読者を切り捨て
その人たちからは蔑視を受けるようなスタンスを貫かなければならない部分がありました。

みこう悠長という作家は、きわめてユーザディスフレンドリです。
それは、この先障害になるだろうことも自覚していました。

それでもどうしても、
私のスタンスをとやかく言うかたがたにあわせるわけにはいかなかった。
それはその主張ポイントが伝わりづらい内容であったことも強く原因となっていますが
私そのものの人間的な幼さが根本にあります。

同時にそうすることで読んでもらえる人を自ら切り捨てて
自分の首を絞めていることは自覚していました。
それではいけないというのは分かっていますが
そうして創作スタンスを変えることに我慢ならなかった。

青いですね。


目に見えて読んでもらえる人がいる限りはそれでもいいと思えたのですが
もう最近が限界かなと思っています。
殆ど読んでくれてる人なんかいなくて
昔から読んでくれてる人のうち、今でも根気よく読んでくれてる人が読んでくれてるだけで
もう私の従来のスタンスでの文章はその寿命を終えているのだと思っています。


ではどうしようかということです。
大きな方針転換が必要なことは明らかで
それは私が今まで練習してきたものすべてを捨てることに他なりません。


私はそれを「ほい」とやれるほど強くはないので
今までのスタンスで書く文章を今後もちまちま続けて
見込みが本当にないのであれば
徐々にその発表ペースをなくして
従来のスタンスに従った作品の発表をなくすことへ
軟着陸をしなきゃいけないと思っています。

同時に、また新しいスタンスを模索する必要があって
それは今まで文章を書いてきた自分を否定することになる。
勿論必要なことなので、身を切ってやるのですけど。

その間に猶予期間として
二つの名義を使い分けて
・従来のスタンス
・新しく模索するスタンス
を分離しようと思っています。
いずれ後者で見つけたものへ移行するでしょう。
もしくは二社が結局統合されるかもしれません。
それはやってみないとわからない。

私は常に何らかのビジョンを持って物を作っているのではなくて、
いつも、いつも、わからないから作っているつもりです。

この名義の使い分けについても、
私の弱さと、未来を耐えるための変化を得るための
二つの意味を持っていて
それが「卑怯な方法」であることは自覚しています。


新しい名義は、そうした新しい模索を行う名義です。
ライトで読みやすい文体。
長すぎない文章量。
いくらか読者を意識した作品作り。
ユーザフレンドリな作者の露出を心がける。


一方の従来の名義は従来どおりのスタンスを続け
この二つの名義の使い分けが問い合わせるところの答えが
「新しく生まれ変わらなければいけない」
であるのであれば、
従来の名義で新しく得たスタンスを実行することになると思います。


これは、2008年に文章を書き始めて5年目で得る
一つの分岐点だと考えています。



この作品は
まだ「みこう悠長」を引きずっています。
文章はライトに出来たかもしれませんが、
テーマそのものは誰も喜ばない、暗いもので、みんなが気持ちよく読めるものではない。

昔は(今だって根底はそうですが)
毒にも薬にもならないものなんか書く気はない、なんて思ってましたが
そうもいかないですよね。


ドラスティックにずばっと変わることは出来ない、
よわっちい人間ですが
もしそれが本当に必要なことなのだというのなら
私は変わらなければ鳴らないと思っています。

かつて「怨嗟」という名義で一時的に作品を投稿したこともありますが
今回の名義分離は少し毛色が違います。

もっと重要な、ターニングポイントになるかもしれないと
(もしかしたら結局もとに戻るかもしれませんが)
思っています

同時に、この別名義を永続的に使い分けるかどうかも分かりません。
いずれどちらかに統合される可能性が高いかと、思っています。


【20130215追記】
再統合しました。
どうにか一つに名称で遣っていく方法を模索します。
第一に、管理が面倒くさいのと、
自分自身の意識の中で、両方に分かれた評価を統一的に収集できないということが
問題になりました。





以下、アーカイブ
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§1

「帰ったわ」

 アリスが帰ってきた。
 なんか、元気ない様子。

「お帰り。……三日ぶり」
「そうね、待たせちゃった?」
「ううん。へいき」

 待ったよ。三日も会えないなんて。

「ごめんね」
「待ってないよ。アリスと、約束したもん」

 待った、待ったよ。

「アリス、キスして、いい?」
「うん。して」

 唇、少しかさついてる。体調悪いのかな。リップくらい塗りなよ。
 キスしてくっついたとき、違う香り。
 シトラス系は、アリスのフレグランスじゃない。魔理沙のだ。
 ブロンドの髪の毛も洗い晒しみたいにさらさら。

「アリス、お風呂、入る?」
「え?え、ええ」

 入ってきたんだよね、魔理沙のとこで。わかってる。だから、洗い流すの。

「背中流してあげる。あと、アリス、唇カサついてるよ。女の子がそんなんじゃ、だめじゃん」
「うん。ちょっと最近、乾燥にやられちゃって」

 リップを貸してあげると、ありがと、といって塗る。
 グロスリップ。塗ったそばから瑞々しくてぷるんとした可愛い唇に変身する。
 アリスの唇って、綺麗だなあ。
 魔理沙も、こんな唇が好きなんだろうか。
 自分の薄い唇じゃ、あんな風に魅力的にならない。

 お風呂に湯を張る間に、交わす言葉は少ない。
 私はただ、アリスの胸の中で、暖かい腕にくるまって、その顔を見上げて、時たまキスをねだる。
 アリスはそれに毎回ちゃんと答えてくれて、私の頭を撫でてくれた。
 シトラスの、魔理沙の、香りがする。

「魔理沙がね」
「うん」
「一緒に暮らさないかって。霊夢と私と魔理沙と、三人で」

 無理。無理だよ、そんなの。
 私、きっと頭か心が壊れてしまう。

「私ここから動けないし」
「そうよね。そう言っといた」

 アリスは、魔理沙と住んでいいんだよ?
 言おうかと思ったけど、恩着せがましいからやめた。
 そんなこと言ったら、アリスは気を使うし。
 私、すごくかっこわるいし。

「でも。その、私は、三人がいいと思うの。私たち、やっぱり、変よ」

 そう、だけど、でも。

「……都合、いいかしら」
「魔理沙っぽいかも」
「えー、そう?」

 私だって、三人で、ひなたぼっこするみたいに過ごせたらいいのに、って思う。
 でも、できない。
 私が、この神社の巫女だからとか、そう言うんじゃなくって。

「おふろ、もうはいれるよ」
「ああ、うん」

 決まりの悪そうなアリスを、押し込むみたいにお風呂に入れる。私も一緒に。

§2

 アリスが帰ってきたら、魔理沙の家から帰ってきたら、いつも最初にアリスをお風呂に入れていた。
 アリスだって気付いてるはず。私が、魔理沙を洗い流すためにお風呂に入れてることくらい。
 アリスは何もいわない。
 ずるい。

「魔理沙はさ」
「ええ」
「どう思ってるんだろうね、私のこと」

 あ。まずい、きいちゃった。
 そんなこと、アリスにきいても、重たいだけなのに。
 めんどくさい女って、思われるかな。

「わかんない。でも、霊夢のことを悪くは思ってないみたいよ?」
「……そっか。ごめん、へんなこと、きいちゃったね」

 ぶくぶく顔を半分沈める。
 アリスは、いいの、と一言いって、湯船の深いところで私の手を握ってきた。
 指を絡めて視線を逸らすと、それを追いかけるみたいに魔理沙が顔を視界の中に押し込んでくる。

「霊夢。私を見て。そっちは、行き止まりよ」

 わかってる。わかってるけど。
 けど、私達だって、行き止まりじゃない。

「キス、キスして」

 私がねだると、湯船の縁に私を押しつけるみたいにして、アリスは強く唇をくれた。
 すごく強い。あっという間に舌が入ってきて、奪い尽くされる。
 舌が絡んで、口の中がえっちな音とえっちな味、えっちな感触で満たされて、頭の中も。
 アリスの背中に腕を回すと,抱き返してくれた。ぎゅうって、強くて、安心する。

「ごめん。私」
「やっぱり、私達、おかしいよね」

 首を振って、否定する。
 おかしい。私達、きっと、おかしい。
 でも、そうする以外になくって。

「だめだよ。魔理沙がいたら、きっと、アリスのこと、嫌いになっちゃう。そんなの、いや」
「私も。"好きよ、霊夢"」

 まほうのことば。
 魔法って、そんなロマンチックなものじゃない。
 神様みたいなもの。
 それを一心に信じて、他に目もくれないための。

「"私も好きよ、アリス"」

 色んなものに嘘をつく、まほうのことば。
 もういっかい、キス。
 また、すごく、つよい。
 アリスも、嘘をつきたいんだ。わかってるよ。

「うそつき」
「あなたこそ」

 少しだけ、悲しい笑いをお互いに交わして、湯船を出る。
 私は、アリスの背中を流してあげる。
 アリスの背中に、ひっかき傷みたいなのが残ってた。
 私はそれを見ない振りして、背中を流す。

「霊夢」
「うん?」
「魔理沙のとこ、行ってきたら?」
「行かないよ」

 行かない。行くもんか。
 行ったら、私が行ったら、めちゃくちゃじゃん。

「行かないよ。私、魔理沙のことなんか、忘れるって決めたもん」
「……霊夢は、強いのね」

 強くないのに。
 私がここから動かないでいられるのは、アリスが来てくれるからだもん。
 でも、アリスがどこに行くかは、私は縛れない。

「縛って」
「えっ」

 耳を疑った。口に出しちゃってた?

「私が、魔理沙のとこに、行かないように。縛ってくれれば、よかったのに」
「できないよ、そんなこと」

 できない。
 だって、アリスの気持ち、よくわかるし。

「どうせ、どんな縄も、破って行ってしまうんだ、アリスは」
「だったら、鎖で」
「鎖も破っちゃう」
「だったら鉄格子で」
「破っちゃうでしょ?」
「だったら」

 背中を向けてきていたアリスが、振り返る。
 すっごくマジな顔で、私を見てる。

「だったら、体で、私をもっと縛ってくれればよかったのに」

 私はなにも答えないで、アリスを抱きしめた。
 耳と耳がくっつくみたいに抱き合って、見えないアリスは、泣いてるみたいだった。

「なんで」

 アリスをなだめるみたいに、いったん言葉を切って、ゆっくりつなげる。

「なんで、人を好きになるのって、こんなに痛いんだろうね。もっと、すてきなものだって、おもってたのに」

 アリスはなにも言わない。
 代わりに、強く抱きついてきた。離れたくない、って、体で言うみたいに。

「髪を乾かして、ご飯にしよ?アリスの好きなもの、いっぱいつくってあるから。それから本とか読んでさ。畳の床でごろごろしてさ。面倒なこと、考えないでさ」

 アリスは私の肩の上で小さく頷いて、でもしばらく離れなかった。
 私も、しばらくそうやって、アリスの体温を感じていた。
 もう一回背中合わせに湯船に浸かって、手だけ繋いで、どちらからともなくお風呂を出た。
 浴槽を出るときも、体を拭いてるときも、髪の毛を解かしてるときも、スキンケアしてるときも、茶の間に戻るときも、ずっと手を繋いでた。
 二度と離しちゃいけないんだって、きっと、お互いに感じてて。

§3

 ご飯の用意の時だけ、アリスと離れた。
 ご飯の用意してる間に、一人台所に立って、すごく悲しくなった。
 お風呂に入って洗い流したつもりでも、私の鼻は、ものすごく敏感に魔理沙の香りを探り当ててしまっていた。
 アリスに染み着いた魔理沙の香りを、私は、欲してた。
 ぎゅ、と目をつむってそれを追い出そうとすると、涙が溢れてこぼれた。

(思い出さないって、決めてるのに。いやだよ。せつないよ。くるしいよ)

 時折視界がぼやけてよく見えなくなりながら、ご飯をよそっておかずを盛って、準備して持って行く。

「おまたせ」

 ご飯を乗せたお盆で往復する私を見て、アリスは、うん、って苦い笑いで私を迎えた。

「すごいわ」
「ふんぱつしちゃった」

 何やってるんだろう、私達。
 何やってるんだろう。

「いただきます」
「召し上がれ」

 お味噌汁とご飯を食べて、韮の卵綴じ。切り干し大根と、おから。春菊のお浸し。
 あんなで、いつも都会派を謳うのに、すごくおばあさんみたいな好み。
 アリスの好み。
 覚えたの、あれから。

 アリスが魔理沙を好きなんだって、知った日に。
 アリスも魔理沙を好きなんだって、知った日に。

「霊夢」
「うん?」
「おいしいよ。霊夢がお嫁さんだったら、幸せね」
「……うそつき」

 アリスは黙ってしまう。

「うそつき!」

 ああ、わたし、ばかだ。
 そんなの、アリスだって承知してるし、私だって大うそつきなのに。

「霊夢」
「私、まだ、魔理沙のこと」
「しってる。でも、関係ないわ」
「じゃあ、ご飯おいしくないってゆってよ。優しくしないで。うちになんか帰ってこないで。キスなんてくれないで。私を嫌いってゆって」
「いやよ」
「私、アリスの敵よ。もっとひどくしてよ。もっと冷たく」

 茶碗と、お箸をおいて、立ち上がるアリス。
 座ったままの私の横に来て、私の肩をつかんだ。痛い。

「だったら、魔理沙を奪い取ってよ。霊夢がするなら、私、諦められる」

 無理。そんなの、出来ない。
 だって、アリス、泣くでしょ。
 きっとその先ずっと誰のことも好きにならないでしょ。

「無理よ、そんなの」
「私だって、無理」

 おかしい。おかしいよね、私達。
 アリスの胸の中に飛び込むみたいに、キスした。

 私は魔理沙が好きだ。
 アリスも魔理沙が好きだ。
 なのに、私達は、しょっちゅう会ってる。
 会ってる、っていうのは、デートしてるっていうこと。
 三角関係の両辺同士が、何で、えっちしたりしてるんだろう。

「思い出したくない。好きだってこと、忘れたい」

 私が、アリスに抱いて欲しいと願うと、アリスは少し迷った風にしてから、口を開いた。

「霊夢」
「うん?」
「私、私ね」

 アリスが、俯いてしまった。
 そっか、こんな関係、やっぱりおかしいよね。
 別れを告げられると思った。
 別れかな。最初から、始まってない。
 狂った関係だった。

「ゆって、アリス。もう、こないって。魔理沙のとこ行っちゃうって。魔理沙を私がもらうって」
「霊夢、私ね」

 目を閉じて、とどめを刺される気分。

「私、魔理沙と別れてきた」
「え」

 なに、ゆって。
 なんで?
 それじゃ、私、何で今までそんなに苦しんで。

「なんでよ」
「ごめんね。私、楽になりたかったの。今まで霊夢を苦しめてたの投げ出して、魔理沙を霊夢に任せて、私の気持ちも霊夢にゆだねて、私、逃げたくなって」
「なんでよ!」
「ごめんなさい」

 わけわかんない。
 アリスが別れたなら、私は何にも苛まれることなく魔理沙を好きでいられるのに。
 なんで、こんなに、悔しいの?

「私!アリスを応援したくて、アリスと、アリスと……!」
「ごめん」

 アリスが別れを告げたのは魔理沙なのに、私が別れを告げられたみたいで。
 そう。
 そうじゃん。
 私、アリスと、別れるんだ。
 魔理沙と付き合うのに、こんな関係続けるわけにはいかない。

「私、あれ、わたしアリスと、おしまい、なの?」
「そう、ね。やっぱり、おかしいわ、こんな関係。私には、荷が重すぎた」

 や、だ。
 なによ、これ。
 これじゃ、何もかも、めちゃくちゃじゃない。

「魔理沙が好きだって、ゆってたじゃない」
「好きよ。でも、つらいの。魔理沙といても、きっと、つらい」
「"霊夢が好き"って、ゆってたじゃない!」
「あれは合い言葉よ。霊夢も、わかっていたでしょ?」
「じゃあ、じゃあアリスは誰が好きなのよ!?私は誰を好きになって、誰を憎めばいいの!」
「私は、魔理沙が好き。霊夢も……好き」

 私が、好き?

「何ゆってるのよ」
「何ゆってるのかしらね。わからない。でも、もう、おわりだから」

 おわり。
 ぜんぶ。
 同じものをみて、隣にいる人の痛みを知ってしまい、傷を舐めあった。
 恋敵。憎めれば、楽だったのに。

「私のこと、好きだったの?」
「わからない。でも、魔理沙に抱かれてるとき、ふと霊夢の顔が浮かぶようになってた。好意かどうかわからない。ただの罪悪感かも」

 私もだった。
 魔理沙に抱いてもらったことはないけど、一人で慰めるとき、いつからか、アリスのイメージが割り込んでくるようになった。

「……私も、好きだったのかも」
「過ぎたことだわ。もしそうであっても、私達、気持ちよくなれると思う?」

 きっと、なれない。
 アリスとえっちしたら、きっと魔理沙のこと思い出しちゃう。
 そんなこと、アリスに申し訳ない。
 きっと、アリスもそうなんだ。

「おわり、なの」
「おわりよ。私がおわらせてしまったのだけど」

 アリスが引き金を引いた。
 でも、その引き金に指をかけていたのは、アリスだけじゃない。
 私も、魔理沙も、一緒にかけていた。
 アリスは、責任を負っただけだ。一人で。

「魔理沙、笑ってたわ。やっぱり他に好きな奴がいたんだなって。わかってたみたい。私達、魔理沙にも、ひどいことしていたのよ。続けるべきじゃなかった」
「そん、な」

 じゃあ、なんだったの。
 私の、私とアリスの、アリスと魔理沙の時間は、不幸に燃え尽きるだけだったというの?
 そんなの、悲しすぎる。

「魔理沙と巧くやらなかったら、呪ってやるからね?」
「勝手なこと、言わないでよ。私だって、まだ、まだ、割り切れてないのよ!」
「私は、決めたわ。魔理沙とも、霊夢とも別れるって。霊夢も、決めて」
「むり、むりよ。アリス、おいてかないで。私を一人にしないで」
「ばいばい、霊夢。もう、来ることはないわ」

 ごはん、ごちそうさま。おいしかった。一生忘れないと思う。
 そう言い残して、アリスは去っていった。
 私は、一歩も動けないままその姿を見送るしかなかった。

§4

「魔理沙」
「おう、霊夢。どした」
「抱いて」

 えっ、っと一瞬だけ声を上げてから、何かを思い出したようにして、表情を落ち着かせる。

「そういう、ことかよ。私は、あそばれてたんだな」

 あそばれてた、ですって?
 気がついたら、私は魔理沙に平手を張っていた。

「って、なにすんだよ!」
「誰が、遊んでたって言うのよ!?誰が、誰が!!」

 悔しい。
 やっぱり私達の苦悩は、魔理沙には伝わらない。
 魔理沙にも苦悩はあったのだろうけど、それは私には伝わらない。
 だれもが、不幸だ。

「お前達だろ!?アリスが私のこと弄んで、フってさっさと消えたと思ったら、今度は霊夢かよ!どうせお前達でつるんで、私をコケにしてるんだろ!?私はな、私は、本気だったのに、おもしろ半分に遊びやがって、あばずれどもが!!」

 泣いてる。
 魔理沙、泣いてる。
 アリスも泣いてた。私も。
 なんで、こうなっちゃったんだろう。
 崩れた山を、元に戻すことは、きっと出来ない。
 私が全部説明して、魔理沙の誤解を綺麗に納めたとしても、私もアリスも救われやしない。
 これは、私とアリスがぬるい湯の中に浸って甘ったれた、罰に違いなかった。
 もう、面倒くさい。頭の中ぐちゃぐちゃで、何も考えられない。

「そうよ。全部遊びだったの。アリスとのセックスは、気持ちよかった?アリスにフられたとき、どんな気分だった?」
「て、めえら」

 怒って。
 魔理沙。
 怒って。憎んで。
 私とアリスを。
 私達を、いっそ、殺して。

「ついでに私も、抱いてみない?憎い相手を、めちゃくちゃにしてみたいんじゃない?ねえ、魔理」

 魔理沙が私を押し倒して、装束の合わせを引きちぎる。ついでに顔に一発もらった。

「お望み通り、めちゃくちゃにしてやるよ。勢い余って殺ちまっても、文句言いっこなしだぜ」

 寒気がした。
 こんな表情の魔理沙、初めて見た。
 本気で、私とアリスを、憎んでるんだ。
 人間でありながら生まれもっての魔女の卵。
 その呪怨の瞳は精神に直接干渉してくる。並の人間なら死んでしまっていたかもしれない。
 魔理沙はそれを自覚無く行使していた。おそらく自分にそんな邪視が使えるとも思ってないだろう。
 そんなすさまじい憎悪が向けられていて、私にはそれが救いにさえ思える。
 私は、罰することさえ、魔理沙に、課そうとしていた。

「不思議なもんだな。憎い奴が相手でも、興奮するもんなんだな」

 魔理沙の手が、装束をさらに破る。
 髪の毛を掴んで無理矢理俯せにされて、下着も破りとられる。

「りっぱな、へんたいじゃな、おっご」

 魔理沙をあおると、思い切り腹を蹴り上げられた。胃が熱くなって痙攣し、胃液が逆流する。

「ごほっ!ぐ、げぇっ」
「吐やがった。私を弄んだくそ女と同じ臭いがするぜ」

 髪を掴まれたまま、吐き出した吐瀉物に顔を押しつけられる。そのままごりごりと頭を押しつぶされて、床に当たる鼻が折れた。鼻血が吹き出す。

「きったねえなあ。さっさと止めろよ」
「あ、あ」

 おまけだといわんばかりに頭を踏みつぶしてから、魔理沙は私のお尻を高く上げさせた。
 そのまま前戯もなく、いきなり指をつっこまれる。一本や二本じゃない。四本一気に、濡れてない穴に押し込まれた。膣内の粘膜が、無遠慮な指先の爪に引っかかって千切れる感触が響いた。

「い、たっい」
「知るか、クソアマ」

 そのまま、押し込められていく魔理沙の手。膣肉が馴らされることなく伸びきり、やがて5本目の親指もが中に突き入れられた。

「全部入ったぜ?さすが淫乱巫女だ、マン肉ぱつんぱつんに伸びながら、しっかりくわえ込んでるぜ」
「あっ、ぐう」

 そのまま指をめちゃくちゃに動かしたり、爪を立てて中をひっかいたり、手首まで押し込もうとさらに力を入れたりしてくる。
 私のそこは、一瞬でずたずたにされた。血が出てる。ズキズキ痛い。中も外も裂けているようだった。
 だのに。

「んだこれ。濡らしてんのか?霊夢、お前、とんでもない変態だったんだな。さすがの淫乱女だよ。もっとひどくしてやらないとだめか?」

 私の体は、喜んでいた。
 女として最低の扱いをされているのに。
 魔理沙には私を愛する意志なんてこれっぽっちもないのに、私の切り裂かれて血塗れになってる女穴は、異物に体する生理現象以上の白く濁った愛液を血と一緒に流していた。
 熱い。魔理沙に破壊されているあそこが、とても熱い。痛みを覆い隠すほどの快感が、腰から体全体に広がっていた。

「けっ。ド淫乱が」

 中で指を鈎に曲げて爪を立てた形のまま思い切り手を引き抜かれる。

「があああああああっ!っふ、ぁっ」

 ぶちぶちいろんなものが引きちぎれた感覚。そのまま引き抜かれた手を見て魔理沙は、本当に冷たい声で言った。

「くっせ。最低の女の臭い、忘れないぜ。ほら、舐めてきれいにしろよ、てめえのマン汁だぞ」

 目の前に差し出された魔理沙の手は、愛液の滑りはほとんどない。血塗れで真っ赤に染まり、爪の間に何か紐みたいなものが挟まってる。
 血の臭いの中に、淫らな臭いが混じっていて、鼻から入ってくるその臭いは私をさらに追いつめる。

「ほら」

 魔理沙が急かしてそれを口元に。
 私はそれを舐めた。
 ひどい味だ。

「ちゃんと綺麗にしろっつってんだよ、このあばずれ!」

 思い切り尻を打たれた。何発も何発も、手で打っていたのは一発目だけで、それ以降は何か堅くて重いもので打たれていた。
 それがなんなのかはわからないけど、尾てい骨にひびでも入ったみたいな痛みを伴うようになり、それが確信に変わった頃には、私は悪臭を伴う血塗れの手を必死に舐めていた。
 暴力。性暴力と言うには些か疑問を持つほどの暴力。
 だというのに、私の体は、苦痛以外の快感を、確かに感じていた。

(魔理沙に、されてる。ずっと、ずっと焦がれて、押さえ込んできた。魔理沙が、私に、本気の感情を向けて、くれてる)

 歪みきった欲望と、甘ったれた贖罪と。
 今や私は、このままレイプされて死んでしまいたいと願うようになっていた。

「死んじまえよ。死んじまえよ!」

 魔理沙も、泣いてる。
 きっと魔理沙、アリスのこと、ほんとに好きだったんだ。
 いいよ。
 そのまま殺してよ。
 魔理沙が何かの空き瓶のようなものを、私の股間にあてがっている。

「ま、まって、なにをいれ」
「うっせえ。だまれよ」

 先端だけ宛がって、後は足で蹴り上げるみたいに一気に突っ込まれる。

「っげ、がっ……」

 激痛、では済まない何か嫌な感触がおなかの下に響く。
 何か、破けなかった?
 おなかに力が入らなくなって、おしっこが漏れた。
 でも恥ずかしいとかそんなのない。
 痛くて苦しくて、でもどっかでまだ気持ちよがってる自分がいて。
 羞恥なんてなかった。

「あ、あぁ」
「もらしやがった。きたね」

 魔理沙は私が漏らす小水を瓶に受け止める。
 ひとしきり噴出す小便がやむとその瓶を横に置いて、さっきしたみたいに髪の毛を乱暴につかんで今度は仰向けにする。

「ひでー顔」

 本当に汚いものを見るような目で私を見下ろし、私の顔めがけて横においてある瓶を逆さにする。
 さっき自分で漏らしたおしっこが顔にかけられて、顔を地面に擦り付けられた傷にしみる。
 自分の小便、臭い。

「や、やめて、もう……」
「何ゆってんだ?こっちはずいぶんうねってるみたいじゃないかよ」

 私のあそこにはまた魔理沙の指が入り込んでいて、それを私の下の口は締め付けていた。

「マゾ豚。こんな風にされて感じてるのか」

 分からない。
 行為に感じているわけじゃない。
 ただ、魔理沙だから。
 それと、罰されている安心感か。

「首でも絞めたら、イくんじゃねえの」

 最低の言葉を発する魔理沙。
 でも、酷い顔をして、泣いている。
 叱られた子供がごめんなさいごめんなさいと泣いて謝るときみたいに、何かに駆られるみたいな泣き顔。

(悪いのは、私と、アリスだもん。魔理沙。ごめんね魔理沙)

 言葉の通り、魔理沙は首を絞めてきた。
 血管ではなくて、気管を押し潰す。正確だった。

「死ねよ。何が博麗の巫女だ。人の気持ちを踏みにじって、でかい面してんじゃねえよ!」
「ぐ、げ」

 視界に霞がかって、意識が薄れるのに、そう長い時間は必要なかった。
 体に力が入らなくなって、水に流されるみたいな妙な感覚。
 やだ、本当に、いってしまう。
 意思を受け付けない体が、なぜか痙攣を始めた。
 真っ白い雪原に血を流して赤が滲んで広がるみたいに、快感が体中に伝わっていく。
 それが体を染め上げた後、すぐに体中の感覚が、死んでいった。
 窒息が始まってる。

「ご、めん、ね、ありす」

 赦しを請うつもりはなかった。
 けど、最後にその言葉が漏れて、意識が途切れた。


§5


 目が覚めたら、木組みの天井が見えた。
 見覚えがある。
 記憶の通りなら、私、死んでいない。

「……起きたか」

 覗きこんできたのは、魔理沙だった。
 顔は向けているけど、目はあわせてくれない。当たり前か。

「私、死んでないの」
「殺すかよ。バカか。治癒魔法は苦手なんだがな、くそ女」

 体中に痛みはない。
 鼻も折れていないし、おなかも痛くない。

「魔理沙……」
「洗いざらい吐いてもらおうか」
「え?」

 魔理沙は、きのこ粥を私に差し出しながら、責めるような視線をやめない。

「アリスがさ。私を振るときに泣いてたんだよ。最初は気にとめなかったって言うか、そんな余裕私にもなかった」

 私が粥を受け取ると、私をベッドに寝せたまま、魔理沙は自分の机の椅子を引いて、それに腰掛ける。

「首絞めて、ほんとに殺すつもりだった。でも最後に見た、お前の泣き顔がアリスのそれと同じだったんだよ。最後に、アリスに詫びる言葉を言ってたのも腑に落ちない」

 差し出されたきのこ粥はおいしそうだったけど、とてもじゃないけど口に出来る気分ではない。
 私は、生かされたのだ。
 逃げることを、魔理沙に許されなかった。

「どこまで、私を蚊帳の外にするつもりだ。私にだって、お前達の理由の巻き添えを食らう権利くらい、あるんだろう?」

 アリスにも、メッセージオーブを送った。そろそろ来るはずだ。
 そう一言付け足して、魔理沙は私を見る。
 さっきはじめて見た冷たい表情は、責めるような目は変わっていない。

「アリスに伝言を頼んでいたはずだ」
「えっ」
「三人で暮らそうって。アリスには断られたが、全部吐き出した後にもっかいその言葉を浴びせてやる。覚悟しろよ」

 少しだけ、魔理沙が笑った。
 涙が、また涙が、止まらなかった。

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