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【小町_雛】愛を得たえた二人がひにんする話

東方夜伽話に投稿しました。
閲覧注意系のです。

愛を得たえた二人がひにんする話

えた、ひにん。

書いているうちに出来上がってきたイメージは
アーマードコアの閉塞した世界観とコジマ汚染。


なんか、定期的に来る、言葉だけで勝手に暴れさせたくなる症候群。

話を作るための言葉でなくて、言葉に勝手に話を作らせる。
この場合に話を作るのは、純然と言葉であって、キャラでもない。
でももしかしたら感情かもしれないので、随筆かな。


随筆。
ああ、こういうの、随筆って言っちゃっていいよね。


随筆書いていて楽しいです。


小町と雛。珍カップ。
まああんまり二人の馴れ初めとかないです。
言葉が勝手に暴れて出来たイメージと設定で
最適なそうなキャラを当てはめてみただけではあります。






以下、アーカイブ。
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 暗幕に縫い付けられた幾億の目が、私を見下ろしている。頭上にぶら下がる水草の腐臭。めだかの卵みたいに半透明のつぶつぶした柔らかいそれが、ぎょろぎょろうごめいて私を監視し続ける。
 生ぬるい風は、まるで真夏に澱んで踝に絡み付いてくる髪の毛みたいで、川を流れていくそれが、私の宿命だなんて思いたくなかった。

 ひとつ。ふたつ。みっつ。

 命を数える屠殺の歌が聞こえる。川原の石積みが、徒の苦行である筈がないのだ。
 逝き過ぎる霊誣いは、最下層霊への穢れ濾過と蓄積を経て定員過剰のカタコンベへ押し込まれる。目覚まし時計の予約は、されていない。裁定は魔女狩り即火炙りで最低。右へ左へ千切って投げて、契って一つだった人さえ上と下、右と左へやっつけ仕事に分断されて、此方と彼方を隔てるのだ。爪と甘皮みたいにべったり張り付いて剥がしたくなる生々しさは、魂が持つ幽かな記憶の恨みつらみに他ならない。
 石を積み続けるのは、息をする肉塊、足の生えた血溜り、痙攣する晒され頭、這い回る髪の毛と、液相化した未練達。早過ぎたというのか。何にくらぶれば、早くないというのか。そこに転がり、文字盤は歪み、針は足りず、発条が切れた時計とでもくらぶればよいのか。
 暗幕に縫い付けられた幾億の目が、私を見下ろしている。はらわたみたいに垂れ下がって雫を落とす暗幕の食み出しが、赤いばかり赤くて生ぬるく、未練と髪の毛、怨嗟と釣り針みたいに私の踝を浚おうとしてくる流れに反射して、さらさらと呻きを吐き出し、過去を呟いていた。
 乱暴に髪の毛を毟られ、頭蓋の割れた、セルロイド人形。生温い赤水に、ぷかぷかと浮いて死んだ目を水面から半分だけ出していた。衣服もぼろぼろで、片腕はない。足は潰れていて、その様はまさに私がよく運ぶ類のものにそっくりだった。中身は私が彼方へ流し、ガワを彼女が運んでいく。その先は知らない。定員超過の地下墓所がこれよりどのように見通しを立てているのか、あるいはそんなもの無いのか。これよりももっと深いところに廃棄された遺棄地獄を第二第三と作り上げ、ただただ汚物と怨恨に泥濘した腐臭漂う空間を増やし続けるのだろうか。
 私と彼女を繋げるのは、そんな凄惨な歴史による轢殺が無垢な魂を磨り潰し体を引き千切る不幸な出来事があればこそだった。

 こちら側から、あちら側へ。

 何故なのだろう。
 それが不徳であり不幸であり罪であるというのなら、この世の条理はいったい何を飲み、何を食って生きているのだろうか。何を見て何を知り、何を歌って何を成しているのか。何一つとして、条理というものは何一つとして何も成していないのに違いなかった。
 疫病、暴力、尊厳の破壊、貧困、飢餓、倫理の暴虐、甘美な終焉、罠。何であっても構わない、構いはしない、そこに流れる頭の潰れたセルロイド人形が、引き千切られ磨り潰され、千切られて流されることを望んで、肉塊となり、血溜りとなり、晒され頭となり、ゲル化した恨みとなったとでもいうのだろうか。
 頭上に垂れ下がる淀んで腐った水に漂う水草を見上げる。めだかの卵を抱えた水草は、渦を巻いて、ここに流れてきた腐り果てた希望と夢を巻き上げて、死亡予約が幾何か先に設定された人間に飲み込ませ、その魂を肥え太らせる。
 そうして丸々肥って脂肪肝、魂に贅肉を蓄えさせてから屠殺する。この暗幕の下に広がる鬱々とした生臭い世界は、巨大な屠殺場だった。そうでなければ、そうでないというのなら、この世の条理は何をしている。発条を巻き壊れた針をかくかくと震わせるお前達は、何を見、何を知り、何を歌っている。盲目か、盲目の全智は白痴か。
 この川の川下に、私が流し続けた汚泥が蓄積しているはずだった。穢れは払われるが、それは死体と同じ、定員過剰のカタコンベと同じで、間に合ってなどいない。蛆が沸き、蝿が集り、クソ虫が群がる腐臭と汚濁の蓄積物が、どこかに集められている。浄化は間に合っていない。その汚穢さえ、それは彼ら死体、魂魄、思惟に未練が、悪いのだという。穢土世界のダンピングに違いなかった。
 元々脚がもげているというのにあまつさえ釘を打ち付けられ川辺から動けなくなったあの人形が、天災によって親より早く命を落としただけの者だと、誰も弁護などしない。最低の裁定が、看過され続けている。死神だけじゃない。そこから絞り出され滲み出る未練と怨嗟を解剖して調べることもせず、無差別に流し続けるしかない私も、そうした血判訴状を火にくべて頬杖を突きながら0か1かの押印をし続けるだけの裁判官も、剥き出しの神経と千切れた血管こぼれ落ちる目玉を元に戻す手間さえ厭い、舟にじっとり血痕が残る程度の運搬しかしない死神も、だれも彼らを弁護しない。
 徹底的にベルトコンベア化された無機質なシステムによって、人が豚を解体して精肉にするのよりももっと怠惰な方法によって、この世界の絞り滓は地下へ地下へと堆積している。誰もそれを変えない。その余地がない。既に定員超過を迎えた地獄も厄場も、それでも処理を続ける浄化作用は働いている。赤字稼働に目を瞑り、それを変えない。そうするために誰かが他の仕事を始めようものなら、赤字は一気に累乗加算され、今よりもなお迅速な崩壊を招く。誰だって今終わらせたいとは考えていない。ただ、先延ばしにするしかない。
 ただ、こうだ。それを「誰も正さない」とは言わない。この行き詰まった処理系が、間違っているわけではないのだ。ただ、排出される魂なり死体なり厄なりが多過ぎる。私たちは出来る限りをしているつもりだった。それでも足らず、恨みヘドロに窒息死する世界なのであれば、それもまた仕方がない。
 こうして私が流し続ける限り、この滓が人を犯すことがない、などということはない。幾ら必死に払い洗い流そうとも、彼女が運び続ける霊誣いと、川辺に残され石を積み続ける血肉骨髪恨は絶える事がなく、触れれば汚れる。そして誰かが触れねば、処理できない。

 さぼりたくもなるよ。
 そんなこといって。

 鉄錆が血漿の中にたゆたうみたいに、この川は汚染されている。この川を聖なる流れと言ってみたり此方彼方を隔てる結界だと言ってみたり、どのような美化であっても問いはしないが、それらは全て吐き出し捨てるべき誤謬だ。
 この鉄錆じみた赤い粒状のものは全て元々命だったものの欠片。それを分別することなくただただ破砕して細かく刻み、不燃可燃も知らずに川に流しているだけなのだ。死んだ目を水面に覗かせて浮いているセルロイド人形も、川辺に繋がれ嗚咽を漏らしながら石を積み上げている脚のない肉塊も、死体の形があるだけ遙かにマシだった。

 汚い、手だろ?

 運び続ける彼女は刈り取ることは余りないという。それでも舟の荷揚げはその手にじくじくと汚れを染み込ませている。私もそうだ。そうした汚れが地下に押し込められている内はよかった。だが彼女も私も、地下ではなく地上にいて、世界の片隅とはいえ同じ暗幕の元で汚染源を運び続けている。

 私だって。

 彼女の手には鮮やかさを失い褪せた赤が塗り重ねられた、黒がこびり付いていた。私の手も、似たようなもの。彼女の手に私のそれを重ねると、私達の手はこの世の終わりみたいに汚かった。
 私達が投げ捨て運び、それがたとえ条理の怠惰故の理屈に合わぬ仕打ちであっても、それを続ける私達はその汚染を身に蓄積していくしかない。汚れを溜め込んだこの身は、いずれ運ぶ者から運ばれる者へ入れ替わるだろう。流す者から流される者へ立ち替わるだろう。世界はそうして汚れをどこかに寄せながら、ひとは見せかけの清浄が保たれる場所で肩を寄せ合って生きている。神という肩書きは、誰かが押しつけてきたものでしかなく、私達は最下層でそれを支える労働者だ。いずれ、使い捨てられる。この世はそうして動いているのだし、それに反旗を翻すつもりだって無い。
 そう思えるのは、彼女がいるからだった。

 でも、あったかいわ。

 どす黒く変色した私達の手。舟に乗せることができるように、小さく引きちぎるときにの飛沫が散る、腕や顔にも、その黒は滲んでいる。送り続ける汚物の残滓を重ね続けたその汚さが、それでも私達がこの世で生きている証だった。
 だって、こんなにあったかい。こんなにも汚くて、臭くていても、私達の手は、お互いにあったかいと言い合える。腐り落ちるそのときまで、どんなに穢れを重ねたって、あったかい血が通っている。
 骨太の、彼女の体が重なってくる。二度と草さえ生えることのない汚穢の土の上で、厄にまみれた私はゆっくりと倒される。
 私達は、子を成すことさえ出来ない。生体濃縮された穢れは母胎から退治へ漏れ出てしまい、肉体の完成した私達親よりも深刻なダメージを負ってしまう。だから、生まれてくる頃には既に腐っているのだ。この世を窒息させようとする穢れは、それほどに強い。だからこそ、私達のような末端労働者がその全ての責を負い、そうでない者達を生かし続ける必要がある。
 それは誇り、というには余りにも利己的だった。そうだと自分に言い聞かせねば、折れてしまうから。宿命に流されてロールプレイに甘んじる限りその泥沼から出ることは叶わないが、それに逆らうほどの強さは、私達労働者には既に残っていない。

 ひな
 おのでらさん

 私の名を呼ぶ少し低い声。呼び返す私の軽い声。腐敗液に近い悪臭を漂わせる乾いたヘドロ台地の上に、二人影が重なった。
 どうしてこんな生まれなのだ。どうしてこんな世界なのだ。条理はいったいどこで何をしている。理屈に合わない。全く合わない。私も、彼女も、それを口に出すことはしない。それはもうずいぶん昔にいいだけ語り合い、好きなだけ泣き、そこら変に漂う恨み魂のようにこの世界を呪って、その反動をぶつけるみたいに、お互いを抱き合った。
 この世に称号ではない神というのがいるのなら、この不条理を正して見ろ。それをしない神を崇めるつもりもないし、私達は仕事に誇りを持ちもしない。ただただ生き物だったものの残骸を、分解も浄化も間に合わぬ速度で吐き出し積み上げ続けるこの世界に救いがあるというのなら、それでも私達より彼らを救って見せろ。
 そこで汚水に浮かび進みも戻りも出来ぬ半壊魂セルロイド人形。あそこで河原に釘打たれ終わりの見えぬ石積みを強いられる肉塊。細切れになって川の汚染を進める生命片コロイド、大気汚染を進める怨恨スモッグ。死その全てを悪性変質ととらえるつもりはない。ただ、お前達怠惰な条理の産物に、その責をさえ負わせる唾棄すべき状況位は、終わらせて見せろ。

 行き止まりね。
 でも、歩みは止めたりしないさ。
 強いのね。
 あたいが?お前もだろ。
 私は、自信ない。
 終わらせる勇気があるのか?
 いいえ。
 じゃあ、強いさ。終わらせる勇気を持てない強さ、それが本物だ。
 逃げ続けることが?
 ああ。逃げ続けることは、強さの証だ。

 袋小路のミクロ世界モデル。それでも私達は生きようと願う。水槽の中でそこから出ることもかなわない小さな存在であっても。それを崇高な精神の活動だなんて言うつもりはない。だっておなかは空くし、痛いのは痛いし、悲しみは尽きないし、目の前の彼女を愛おしいと思う。それは、たとえ行き止まりに追い込まれた私達でも、無様に往生際悪く、生き続けようと思う、ほんとうの、偽り無い、命の作用だ。これに嘘をつくのは欺瞞だし、これを高等精神活動だなどと歌うのは傲慢だ。
 ただ、生き続けたい。それだけが、ほんもの。
 たとえ深刻な汚染に身が腐り落ちる未来を知っていようと、それを救う何かがもたらされることがないとわかっていても、条理を貫く神などありはしないと悟っていても、それでも今生きている私を続けることが、ほんもの。
 彼女に倒されて、覆い被さられたまま、上天の暗幕とぶら下がるゼラチン質の星が見える。赤みがかった暗幕は汚染大気の光の屈折、白濁ゼリーの星もだ。仰向けのおなかと胸に暖かいのは彼女の体温で、背中にじんわり暖かいのはヘドロ大地の浅い地下で発せられ続ける崩壊熱。

 そうね。世界の行き止まりの前に、私達が転んでしまうもんね。
 行き止まりを嘆いても、仕方がないさ。私達はそういう存在だ。それに、終わりは嘆くほど近くはない。
 私達が先に朽ちるなら、全力で走り抜けることに代わりはないか。
 そういうこった。

 キスをくれた唇は黒ずんでいて、相当汚染が進んでいる。でも、それだって手と同じで、あったかい血が、まだ流れてる。まだ生きようと動いてる。ただの機械と同じでも、私達は自分の意思でそれに意味を持たせる力を持っている。
 それだけは、否定しない。逃げ続けたっていい、戦うだけが強さじゃないと信じて、この汚染された世界の片隅で、私達は命を叫ぶ。
 愛しい人と忌まわしい汚染の両方の暖かさに抱かれながら、私は腕を伸ばす。彼女はそれに応えて、でも上半身を起こしなおす。まって、と口の形だけで私にそれを伝えてから、帯を解いて豊かな上半身を露にする。利腕の右腕から染み入る様に右上半身に広がる黒い汚染。私もそうだ。彼女がそうしたように、私も前のあわせを開いて曝け出した胸は、やはり黒く沈んでいる。
 彼女はそれがこそ愛おしいと、私の乳房の黒い斑点一つ一つに舌を這わせて愛してくれる。私は彼女の背中に腕を回してそれを強く抱いた。
 汚染物質の蓄積とその色素が定着した黒い部分は、感覚が鈍っている。麻痺しているといってもいい。それでも、彼女に愛撫されるそこは、燃えるように熱くて、その熱が愛おしさを高速増殖させていく。

 おのでらさん
 ひな

 か細い声が漏れ、それを捕まえるみたいに唇をくれる。汚いといった手と手同士、指を絡めて汚染された大地に二人で横たわって、命を、愛を叫ぶ。

 ほしい、です

 私が彼女の股間をさすると、その中央では大きくなったそれが熱を持っている。私は彼女の装束の裾をたくし上げて、痛々しく反り返ったそれを包む布を取り払った。

 だめだよ、私達は

 わかってる、子はなせない。汚染の蓄積は新しい命を徒に胎内で殺すだけだ。私達の命はここで、連鎖を見ることなく終わる。それでも、それでも愛おしいと、欲しいと思ったって、いいはずだ。
 こんなにも互いを求めて膨らんでいる熱を、私達は分かち合うことが出来ない。世界の隅の肥溜めで、蠢く害虫か何かみたいに、私達には先が与えられていないのだ。
 それでも。

 慰めさせて

 私が言うと、彼女は少し足を開いて私の愛撫を受け入れる。同時に、私の股間にも、彼女の指が這い入って来た。

 んっ
 ひ、ひなっ

 私の上に覆いかぶさる彼女が、私の耳元で、低い喘ぎを漏らす。それを聞く私も高まり、腰を浮かせてしまう。

 おのでらさんのゆび、きもちいい

 私の股間は、腕と同じくすっかり黒変している。汚染された体細胞は、外部から受ける穢れと同じに、末梢部分から順に転移を受けて広がって行く。それを止める術はない。病気ではない。変質なのだ。如何なる薬もこれを止めることを放棄し、私達末端労働者は社会から放棄されている。
 それでもほら、こんなにもほら、気持ちがいいの。熱くて、愛おしいの。閉ざされた私達だって、愛を感じるし、まだ、私達まだ、命を抱えてる。生きてる。
 ぬるぬると先走りが絡む私の指の中で、おのでらさんのそれが、震え始めた。もうすぐ。おのでらさんの指が私の泥濘から次から次に湧き上がらせ噴出させてくる。掘り進まれると同時に、その上で膨らんでしまう淫核を押すように刺激されると、私もえっちな声を上げて限界が近いことを伝えてしまう。

 ひな、いきそう
 わたしも、わたしもっ

 彼女が切ない声で息を細かく刻んでいるのを見て、絡める指を少し強く、擦る動きを少し早くする。それと同じように彼女の指も私のまんなかを愛撫するのを強く早くしてくる。
 きもちいいのと同時に膨らむ、いとおしいの気持ち。こんなにも淫らな気持ちになって彼女にしがみついて愛しいと感じるのは、私達がまだ、生きている証拠だ。生きようとしている証拠だ。
 それは、誰にも否定させない。この穢れに満ちた行き止まりの場所であっても。私達を誰が、どんなに迫害し、この空間に押し込め臭いものに蓋と目を瞑っても、私達は、ここから命を叫ぶ。

 っ、あ、ひ、ひなぁっ!
 おのでらさんっ!

 私の上で、彼女が身を震わせる。冷たい精液が私のおなかの上に降り注いでおへそのくぼみに流れ込み、あるいはおなかを伝って流れ落ちた。一緒に果てた私の股間からも、絶頂の収縮で愛液が搾り出される。指をくわえ込んで離さないそこから、ぬるりと抜けるおのでらさんの指を、名残惜しく襞が追いかけた。

 はっ、はっ

 二人一緒の呼吸のリズムを刻んで、お互いに見つめ合ってキスをした。
 おのでらさんは私のおなかの上に広がった精液を拭って後始末をはじめようとする。私は拭き取られようとするそれを指で掬い取って、それを見る。
 それには、血が混じっていた。内部の汚染が組織を破壊しているのだろう。
 彼女は私の指を掴んで、その血交じりの精液を拭き取ろうとしたが、私はそれを振り払うみたいにして口へ運んだ。
 たとえ血に塗れていても、それは彼女の命の奮起した姿だ。彼女自身の、生きようとする証だ。命と愛を連鎖させようとする意志だ。

 ばか。そんなもの
 ばかじゃないわ

 私のあそこも綺麗に拭いてくれて、後始末がおわる。私は彼女にお礼を言って、もう一度キスをした。
 私達はまた崩壊熱がぼんやり暖かい大地に寝転ぶ。
 終わりに向かって、他の妖怪たちより少しだけ早く歩いている。どんなに汚くて先がなくて、忌避されて唾棄されて、差別されて迫害されたとしても、私達は生きている。生きようとしている。
 誰がそれを否定しようとしても、私達は、私達自身のその生きようとする意志を、絶対に否定しない。
 私達が認めなくて、他の誰が認めるというのだ。
 たとえ条理が見放しても、私達は、私達を信じ認める。
 逃げ続ける選択だって、弱さとは限らない。美しく散ろうという美化より、よほど希望に満ちている。
 往生際の悪い選択だって、弱さとは限らない。すっぱりとやめてしまうことより、世ほど希望に満ちている。




 私達は、生きている。生きようとしている。この、汚染された大地で。

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