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【読書/日記】「アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う」を読んだ。

友人が本を買うというので私も本屋に行き、
特に当てもなく本を買った。

彼は
本屋に行くときは特に下調べもせず
ふらふらと見て

・面白そうだけど
・知名度が高すぎない

ものを買うのだという。

私と同じだ。

私はそうして選んだ中からどれか一冊を選ぶのに、
タイトルの語感を重要視するのだけど
彼がその辺をどうするのかは聞かなかった。

彼が買うのだから
折角だし私も何か読もうかなと思ってふらふらと選んで
あれでもないこれでもないと
本を手にとっては戻し、戻しては歩いて選びを繰り返した。

(平積みにされてる本はダメかな。
作家か、タイトルか、どちらかの知名度が高すぎる。)


どうも人には理解されないのだけど
情報は稀少でなければ価値がない
情報は有用でなければ価値がない
そういうよく分からない考えが私にはある。
どうせ同じお金と時間をかけるなら
二つの妥協点でなるだけ高いものを選びたいなと思ってしまう。

そしておおむねそうして選んだもののほうが
たとえば有用だが稀少ではないもの
逆に稀少だが有用ではないものを選んだときよりも
満足度が高いことを自覚している。

本を読んで得る、その内容は情報だ。
その情報から得られる感想や感覚も、
それに準ずるような感覚がある。

勿論、
人の感想は人の感想、
自分の感想は自分の感想なのだから
同じものを読んでもいいという理屈は
分かっているのだけれども。

まあ、そうは言っても本屋にあるものだ、
それなりに売れることを期待して仕入れてあるわけで
そうである以上はどんなに隅に置かれていても
それなりの知名度はある。

何を買ってもまあまあ安定しているのだから
せいぜい冒険しようなんていう
その辺の微妙なバランスで買ってるような気もする。



そうして友人が本を買ったので
私も2冊選んだ。

1冊はそうしたよく分からない信念に従ったもの。
平積みされておらず、
背表紙だけを見てタイトルからピンと感じたもの。

もう1冊は、ある意味で保険のような感覚で
平積みされたものの中からよさそうなのを選んだ。

そんなに読書の数が多いわけではない私には
二冊ともタイトルも著者名も知らないものだった。



で、
2冊の内、背表紙で見たタイトルでピンと来て
取り出した表紙を見て、おっ、とおもって
中を開いてにやりとしたものが、このエントリのタイトルにある

「アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う」

いつ出た本か知らないけど、
既に5巻出て完結しているらしい。
同著者の別シリーズが始まっているらしく、
そちらもその一冊が置いてあった。

海外のファンタジーモノの翻訳らしい。

妙なタイトルも、
翻訳モノであれば原題とは関係ないかもしれない。

表紙の絵は勿論日本人が描いたもので、
原作者のイメージとは違うのかもしれない。

中の文体は翻訳したもので、
原文の味を100%いかしているかどうか、
英語の出来ない私には分からない。

タイトルから感じた妙な好感は
なんとも言い得なかったし
表紙絵に感じたアニメ絵だけど萌え絵じゃない感じも
気に入った。

何より、私は
外国語を日本語に訳したような
持って回った文体が好きらしい。

ブラックラグーンの芝居じみた台詞が好きだし
MTGフレーバーテキストの回りくどいユーモアが好きだ。
大分昔に読んだ純粋理性批判や、
ちょっと前に読んだラブクラフト大全の、
主軸を見失いそうになる長蛇な文が好きだ。

「これ気に入った、これにするー」

妙にほくほくしてそれを選んだ。
5巻全部が棚に揃っていたなら
全部買っていたかもしれないが
あいにく4巻が抜けていたことが
1巻だけ買う程度に自制心を
ぎりぎりのところで保ってくれた。

おりしも
複数のSSのねたが平行して出現するも、
どれも一気に突っ走るほどのパッションを得るには至らず
コレはどうしたものかなと
買ったばかりの万年筆で
100均ノートや手帳にメモ帳に
ざらざらとところ構わず
プロットや設定を書き並べては
ため息をついてばかりだった私は
いったん諦めて
買ったこの本を読むことにしようと思った。

そんで読み始めたこの本は

思いのほか面白かった。

最近本屋で選ぶのが
恋愛小説かミステリーばかりで
恋愛小説は私にはどうにもむずがゆい
(得るものも多いが)
もので
ミステリーはどうにもその
ミステリーというものの実態を掴みきれずに
唸ってばかりだった。
(ミステリーというジャンルが、
どういったものをさすのかよく分からない)

以前読んだ「ダブル・ファンタジー」は
恋愛小説ではあったが、むずがゆさよりも圧倒されて、
コレは大変よい読書であったし
「外字警察」は初めて読む警察物で胸が沸いたが
それ以降はやはり同じ傾向が続いた。

ミステリーは買ったもの
(直近だと「彼女がその名を知らない鳥たち」や「孤虫症」)
もあるし
その友人から借りた「GOSICK」や「推定少女」も読んだが
やはりミステリーを定義付けるラインがよく分からず
読後感だけを味わった。
勿論得るものは多かったし、面白かったが。


そんな中で買ったこの本は
久しぶりのファンタジーモノだ。



以下ネタバレを含む




まず開始数十ページで、
主人公たるアレクシアが
「オールドミス」であり「不美人」であることが
多くの言葉を以って語られる。

コレが私には喝采モノだった。
何せどんな作品を見ても、
脇役キャラが好きになる体質の私。

つまりこの主人公に与えられ
数十ページにわたってさっさと書き出された特性は
その多くが脇役キャラに与えられるものだ。

間違っても萌えキャラでもなければ美少女でもない。
(それは勿論文章中の記述の上での話であって、
もう少し突っ込むならば
「架空のヴィクトリア朝ロンドンでの」
「普通の人間の」美意識の上においての
評価に他ならなく、読者や原作者の意識ではない)

それが個人的に大いに気に入った。

そして東方好きな私にとっては
「傘」というアイテムは偶像(フェティシュ)にも近い存在であって

まあつまり、
アレクシアと紫をいくばくか重ねたところはある。
それを差し引いたとしても、
アレクシアは魅力的なキャラに見える。
魅力的なキャラとしての設定を与えず
魅力的に描かれているところが魅力的だった。

そのほかの設定はまあ
近年日本ではやっている「異能を無効化できる異能」というもの。
コレが古来のものなのか、
欧米でも古来のものなのか、
欧米でも日本と同じようにはやっているのか、
いずれもまあ私はよくはしらない。

インフレ気味のファンタジーの
ダブついた貨幣回収役として出現して
しかるべき存在のようにも見えるけど。
コレが出現するようになったってことは
行き止まりなのか、それとも新しい局面へ向かうのか
ただ繰り返すのか、どうなのかは興味あるかな。


主人公のアレクシアはその
「異能を無効化できる異能」を持つ種族であって
だがそれ以外はいたって普通の人間
(変人として描かれているが)
である。

舞台はヴィクトリア朝ロンドンという
架空時代のイギリスの都。
ファッションの先端はパリにあり、
スコットランドは田舎、
という印象はデフォルメされてすえられている。

ロンドンでは、
近年、異界族という種族が、
昼界族(普通の人間)というものに混じって
それと同じように社会に溶け込んで生活するようになってきた。

異界族
(「吸血鬼」「人狼」「ゴースト」といった
いわゆる夜族"ミディアン"とかよく言われてるやつら)

人間世界に、適応しながら
ごく少数だが確固たる地位と幾ばくかの差別を持って生活している。

吸血鬼は人を襲わず、
ドローン(吸血鬼の取り巻きの人間達)
から少しずつ血を吸っている。
売血婦という商売女もいる模様。

人狼は月に一度狼に完全変異して手に負えなくなるので
クラヴィジャー(人狼の取り巻きの人間達)
に自分を拘束監禁させて
その一夜を人を襲わぬようにやり過ごしている。



主人公であるアレクシアは
触れることで異界族から異界能を一瞬にして消し去り
触れている間普通の人間に戻してしまうという能力がある
反異界族として設定されている。
(反異界族はアレクシア一人ではないが、
少なくともイギリスには一人しかいないらしい)

彼女が触れていれば吸血鬼も人狼も普通の人間に戻り、
吸血鬼は吸血の牙を失い
日光に浴びても平気になるし、
人狼も鋭い牙と変身能力を失い
月に一度狼に変異してしまう呪いも無効化される。

物語の中核はアレクシアのその能力となる。

人狼のボスや人狼団や一匹狼、
吸血群や吸血鬼女王、はぐれ吸血鬼
といった存在が
「少々異色を放って」存在してるその微妙な舞台描写が巧み。

一方で、中世ヨーロッパよろしく紳士クラブが存在し
晩餐会や舞踏会が開かれては
貴族がファッションや名声を謳歌していて
文の端々にそういった瀟洒な世界独特の表現がちりばめられて面白い。
開始早々に見える貴族の"拙い"様子を
「安物のシャツで人前に出ること」
としている辺り興味深い。

科学と魔術が共存していて錬金術に近い様相をていし
蒸気機関とエーテル機関がどちらも存在する
スチームパンクのような描写が時折現れて楽しいし、
コレこそが物語の中核だった。

この小説の優れたところをひとつ上げるとすれば
この世界観の構成だと思う。
ヨーロッパ貴族社会と人外とスチームパンク。

もう一つ上げていいのであれば、
複数のアトラクションを織り交ぜながら
並行して同時に展開する巧みさだと思う。

ヨーロッパ時代劇であり
スチームパンクであり
能力モノであり
人外の現れるファンタジーであり
ラブロマンスであり
ファミリー喜劇であり
恐らくミステリーである。

それらを巧く織り上げて
(それは本当に織物のように
漉き合わせ組み合わせ噛み合わせる作りこみによって)
話はテンポよく進む。

西洋モノらしいジョークは日本人のセンスではないし
その軽妙な台詞回しは見ているだけで楽しい。

中盤以降急激に進むラブロマンス要素は
甘いというよりは情熱的。

不美人と散々書かれているヒロインが
人間界では貴族で新進気鋭の人狼団のリーダーと
(前半では犬猿の仲と書かれているところからの前提があった上で)
恋に落ちていく様は
それでもミステリー要素と巧く絡み合わさっている。

倦厭の中として書かれているが
何処となく最序盤で二人が現れた瞬間
「この二人がくっついたら面白いのにな」
と思わせる空気があって、
それが実ったカタルシスもあるかもしれない。


脇役達も魅力的で
老獪で色々と考えている割に口を出さない
魅力的なキャラでありつつ
脚本上は便利なギミックとして働いているキャラも見逃せない。

はぐれ吸血鬼の一人は強烈な個性を放っているし
人狼のサブリーダーは苦労人。


個人的には
「フランス訛りのある元吸血鬼の
取り巻きメイドで今はアレクシアのメイド」
ちゃんがお気に入り。

実際に英文では
「フランス訛りのイギリス英語」
をどのように書いているのか
私には知る由もないしそれを見ても分かりはしないのだけど

初登場するやその姿は瀟洒、
外見にも振る舞いにも落ち度のないメイドとして描かれているが
日本語訳では
その言葉遣い(フランス訛りのイギリス英語)が

「~でしょー?」
とか
「~がいーです」
とか書かれていて

可愛い。
可愛い。
このこかわいい。

翻訳者ナイス。


あと惜しむらくは
最初に出てきた
「鹿弾(バックショット弾)を仕込んだ真鍮製のパラソル」
(つまり仕込みショットガン傘)
が殆ど使われることなく終わってしまったことだ。
数回打撃に使われただけだなどと、期待はずれである。

タイトルの接頭に
「英国パラソル奇譚」
と銘打たれているというのに。
二巻以降に期待。


くだらない落ちの感想でしたが、よい本でした。
コレは5巻全部買ってしまうなー。

他にもこの巻ではかかれていない設定についても
この先語られるのが気になる。




友人と一緒に買ったもう一冊の本については
読み終わり次第。

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